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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成14(行ウ)15

事件名

 怠る事実の違法確認等請求事件

裁判年月日

 平成19年3月22日

裁判所名

 奈良地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 県の協業組合に対する中小企業高度化資金の貸付けについて,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,県知事及び県商工労働部長に対してした前記組合に対する償還請求,担保権の実行,強制執行の手続及び連帯保証人に対する履行請求を怠る事実の違法確認請求が,認容された事例
2 県が協業組合に対する貸付金の償還請求権の行使を怠っているのは違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,県に代位して前記組合に対してした各約定償還元金に対する各償還期限の翌日から支払済みまでの約定の割合による違約金の支払請求が,一部認容された事例

裁判要旨

 1 県の協業組合に対する中小企業高度化資金の貸付けについて,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,県知事及び県商工労働部長に対してした前記組合に対する償還請求,担保権の実行,強制執行の手続及び連帯保証人に対する履行請求を怠る事実の違法確認請求につき,(1)債権の管理に関する事項について地方自治法240条及び同法施行令171条から171条の7までの規定により定められているにもかかわらず,貸付目的の政策性,公益性を理由に履行期限の繰上げや強制執行等を行わないことを認めるとすれば,貸付けと補助金との区別を不明確にするのみならず,法令上,強制執行が功を奏しないと認められる場合に限り徴収停止の措置をとることができ,また,債務者が無資力又はこれに近い状態にあることを理由に履行期限を延長した場合に限り,議会の議決を得ることなく債権を免除できるものとされていることを無意味にしてしまうこと,(2)正常な債権回収が到底期待できない状況にありながら前記組合の経営改善努力を考慮して履行期限の繰上げや強制執行等を行わないのは失当であること,(3)県食肉流通センターの状況や化製業の構造不況の実態等の事情を踏まえれば,仮に前記組合が操業停止に陥ったとしても,直ちに臭気公害が再発したり,県内の食肉処理が滞るなどの弊害が生じる具体的なおそれがあるとは認められないことからすれば,同令171条の2ただし書の「その他特別の事情があると認める場合」及び同令171条の3ただし書の「その他特に支障があると認める場合」に該当せず,前記各行為を怠ることは違法であるとして,前記請求を認容した事例
2 県が協業組合に対する貸付金の償還請求権の行使を怠っているのは違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,県に代位して前記組合に対してした各約定償還元金に対する各償還期限の翌日から支払済みまでの約定の割合による違約金の支払請求につき,同支払請求は同号所定の「損害賠償の請求」に当たるから,当該訴えは適法であるが,代位請求できるのは,口頭弁論終結時において既に償還期限が到来した元金に対する違約金の支払請求に限られるとして,同部分について認容した事例

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