裁判例検索

裁判例結果詳細

行政事件 裁判例集

事件番号

 平成20(行コ)144

事件名

 各違法公金支出金返還請求控訴事件(原審・長野地方裁判所平成17年(行ウ)第14号(甲事件),同18年(行ウ)第9号(乙事件))

裁判年月日

 平成20年9月11日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 県が,知的発達障害者が参加して県内で開催される国際的な競技会であるスペシャルオリンピックス世界大会の企画,組織化,運営実行に関する事業を行うこと等を目的として設立された特定非営利活動法人に,県の職員を研修のためとして派遣したことは,地方公務員法35条に違反し,同職員に対し給料を支給したことが,地方自治法204条の2に違反するなどとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき市長個人に損害賠償の請求をすること及び前記特定非営利活動法人に不当利得の返還の請求をすることを市長に対し求める請求が,棄却された事例

裁判要旨

 県が,知的発達障害者が参加して県内で開催される国際的な競技会であるスペシャルオリンピックス世界大会の企画,組織化,運営実行に関する事業を行うこと等を目的として設立された特定非営利活動法人に,県の職員を研修のためとして派遣したことは,地方公務員法35条に違反し,同職員に対し給料を支給したことが,地方自治法204条の2に違反するなどとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき市長個人に損害賠償の請求をすること及び前記特定非営利活動法人に不当利得の返還の請求をすることを市長に対し求める請求につき,地方公務員に対する研修は,勤務能率の発揮及び増進に寄与するものであることを要するところ,前記職員は,前記世界大会を運営するための組織の構築,多方面への配慮が必要になる種々の運営計画の策定及び実行,さらに人事管理作業等多種多様の作業を行い,広い視野や柔軟な試行等が求められたと推認できることから,前記業務は,地方分権が推進される中で要求される政策形成能力,創造的能力,法務能力,柔軟性等の向上に寄与するものであったといえるし,他の職場や他の地方公共団体及び一般の地域住民等様々な人々と交流して相互に啓発しあう機会を持ち,県の組織とは異なる風土や業務を経験することにより,幅広い視野や柔軟な思考力を養成する機会になったものと認められ,前記派遣は,前記職員の勤務能率の発揮及び増進に寄与するものであり,地方公務員法39条の研修にあたるから,前記職員に対する給与の支給が地方自治法204条に反するものではないなどとして,前記請求を棄却した事例

全文