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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行ウ)677

事件名

 建築確認不適合処分取消請求事件

裁判年月日

 平成20年10月31日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 線路を敷設してある又は敷設するための鉄道用地である線路敷が,建築基準法及び同法施行令等の建築基準関係規定上,建築物の敷地となり得るか
2 既存の駅舎のある土地部分のほか,隣接するプラットホームの定着する土地部分や線路を敷設してある線路敷等を併せて敷地とする,既存の駅舎等の増築についての建築確認申請に対する前記増築計画が建築基準関係規定に適合しない旨の処分の取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

 1 建築基準法及び同法施行令等の建築基準関係規定には,線路を敷設してある又は敷設するための鉄道用地である線路敷内に建築物が建築されることがあり得ることを前提とする規定があり,かつ,線路敷内における建築物の建築を制限する規定が定められていないことからすると,線路敷は,建築基準関係規定上,建築物の敷地となり得る。
2 既存の駅舎のある土地部分のほか,隣接するプラットホームの定着する土地部分や線路を敷設してある線路敷等を併せて敷地とする,既存の駅舎等の増築についての建築確認申請に対する前記増築計画が建築基準関係規定に適合しない旨の処分の取消請求につき,建築基準法施行令1条1号にいう「建築物の敷地」とは,1の建築物又は用途上不可分の関係にある2以上の建築物のある一団の土地をいうものであるところ,ここにいう一団の土地とは,同号の構造等に照らすと,当該建築物と用途が不可分の関係にあり,これと共通の用途に現実に供されている土地であって,道路,河川,囲障等の物理的な障害によって隔てられずに連続した土地であることを要するところ,線路敷は,これに接する各土地相互の連続性を遮断する物理的な障害を有する土地であるというべきであり,線路敷によって隔てられる土地については,原則として,一団の土地ということはできないと解するのが相当であるとしつつ,他方で,建築物の敷地となり得る一団の土地であるか否かは,建築確認の申請において敷地として特定される土地が客観的に連続した土地であるか否かを基準として判断すれば足り,(1)線路敷の建築限界外である上空を利用して建築物を建築した場合には,その上空が利用されている線路敷については,これを当該建築物の敷地に含めることが否定されるものではなく,(2)当該建築物が線路敷の上空を占める関係になくても,建築限界外に建築物の敷地となり得る人工地盤等が設置されている場合において,当該人工地盤等を建築物の敷地として観念し,その部分を介在して線路敷により隔てられた土地がなお連続性を維持していると認められるときは,これらを連続した土地と観念し,一団の土地と認めることが妨げられるものではないとした上,前記各土地は,物理的な障害としての線路敷によって,前記建築物と接する土地等とプラットホームが設置された土地とが隔てられており,前記(1)又は(2)の事情も認められない以上,連続した土地ということはできないから,一団の土地であると認めることはできず,建築基準法施行令1条1号に適合しないとした処分は適法であるとして,前記請求を棄却した事例

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