裁判例検索

裁判例結果詳細

行政事件 裁判例集

事件番号

 平成20(行ク)277

事件名

 執行停止申立事件(本案・当庁平成20年(行ウ)第714号開示決定取消請求事件)

裁判年月日

 平成20年12月10日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 独立行政法人医薬品医療機器総合機構が,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律に基づいてした,医療機器の不具合及び感染症症例に関する報告書の一部について公開する旨の決定に対し,前記報告書を前記機構に提出した医療機器製造販売業者がした効力停止の申立てが,認容された事例

裁判要旨

 独立行政法人医薬品医療機器総合機構が,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律に基づいてした,医療機器の不具合及び感染症症例に関する報告書の一部について公開する旨の決定に対し,前記報告書を前記機構に提出した医療機器製造販売業者がした効力停止の申立てにつき,前記報告書には前記販売業者が製造した医療機器の内部構造に関する情報,不具合の原因等の製品情報,営業上のノウハウ等が記載されているところ,これらの情報は事業活動に有用な技術上及び営業上の情報であって,医療機器の製造販売業界における前記情報の価値・希少性及び各社の競争状況等の諸事情が明らかでない現時点においてこれらが公になれば,競業他社がこれを利用することにより利益を享受しうる反面,前記製造販売業者が損失を受ける可能性は直ちに否定しがたいこと,また,前記報告書には,前記各医療機器に不具合が発生した当時及びその前後の患者の状態並びにこれに対する担当医師の意見なども記載がされているところ,所定の期間内に提出された暫定的,概略的な報告内容が公表された場合,その当時における前記各医療機器の一般的な使用状況や患者を巡る状況等の諸事情が明らかでない現段階においては,医師,患者等の間で事実関係の誤解に起因して不当に前記製造販売業者の信用が損なわれる可能性が直ちに否定しがたいことからすると,前記各情報が開示されることによって,情報公開法5条2号イに規定する申立人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれが認められないと断定することはできないから,「本案について理由がないとみえるとき」に当たるとはいえず,また,前記情報が公にされることによって申立人の競争上の地位等が害されれば,その性質上,これを回復することは事実上不可能であるから,前記決定の執行により生ずる「重大な損害を避けるため緊急の必要」があるということができるなどとして,前記申立てを認容した事例

全文