裁判例検索

裁判例結果詳細

行政事件 裁判例集

事件番号

 平成20(行コ)217

事件名

 建築確認処分取消等請求(第1事件),追加的併合申立控訴事件(第2事件)(原審・東京地方裁判所平成19年(行ウ)第336号,平成19年(行ウ)第638号)

裁判年月日

 平成21年1月14日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条3項による建築物が安全上支障がない旨の安全認定処分と建築基準法6条1項に基づく建築確認処分における違法性の承継
2 建築主事がした建築基準法6条1項に基づく建築確認処分が,東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条1項の接道要件を充たさないとして,違法であるとされた事例

裁判要旨

 1 東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条3項に基づき,建築計画につき安全上支障がない旨の安全認定処分がされた場合,同条例4条1項及び2項の定める,建築基準法42条1項の規定する接道要件よりも厳しい接道要件は適用されないことを前提として同法6条1項に基づく建築確認処分がされるところ,従前は,建築主事が,安全上支障がないかどうかの判断も建築確認処分の際に判断していたが,条例の改正により安全判断については外の行政庁が行政処分の形ですることになったため,安全判断に対して独立した争訟の機会が付与されることになったが,それは申請書の権利保護のため争訟の機会を増やす趣旨のものと捉えるのが相当であって,改正前と異なり建築確認の段階においてはもはや安全判断の違法を争うことをできなくするという趣旨までは含まれていないと解するのが相当であるから,安全認定処分の違法は,建築確認処分に承継される。
2 建築主事がした建築基準法6条1項に基づく建築確認処分につき,東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条3項に基づく,建築物が安全上支障がない旨の安全認定処分の違法は,建築確認処分に承継されると解した上,知事から授権を受けた都の特別区の区長が,前記建築安全条例に基づいて,安全認定処分は,合理的根拠なく路地状部分に幅員8メートルの通路がある場合と同程度に安全上の支障はないと判断した点で裁量権を逸脱濫用した違法な処分であるから,前記安全認定処分がされた場合に前記条例4条1項を適用しない旨規定した同条3項が適用されない結果,建築基準法42条1項の規定する接道要件よりも厳しい接道要件を規定した同条1項が適用されることになり,建築確認の対象となっている建築物は同項の接道要件をみたさないとして,前記建築確認処分が違法であるとされた事例

全文