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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成20(行コ)16等

事件名

 非開示処分取消請求控訴,同附帯控訴事件(原審・仙台地方裁判所平成17年(行ウ)第18号)

裁判年月日

 平成21年1月29日

裁判所名

 仙台高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 県警察本部の各課隊における犯罪捜査協力報償費に係る犯罪捜査協力報償費支払明細兼残高証明書,現金出納簿,捜査費支出伺,支払精算書及び領収書に記録された捜査員へ個々の捜査報償費を交付した日,その金額等の情報が宮城県情報公開条例(平成11年宮城県条例第10号。平成14年宮城県条例第60号による改正前)8条2項ただし書による同条1項4号所定の非開示事由(公共秩序維持情報)に該当するとした警察本部長の判断が,裁量権の逸脱又は濫用に当たらないとされた事例2 県警察本部の各課隊における犯罪捜査協力報償費に係る施行伺に記録された起案者である警察職員の氏名,印影の情報が,いずれも宮城県情報公開条例(平成11年宮城県条例第10号。平成14年宮城県条例第60号による改正前)8条2項本文により読み替えられた同条1項4号所定の非開示事由(公共秩序維持情報)に該当するとされた事例

裁判要旨

 1 県警察本部の各課隊における犯罪捜査協力報償費に係る犯罪捜査協力報償費支払明細兼残高証明書,現金出納簿,捜査費支出伺,支払精算書及び領収書に記録された捜査員へ個々の捜査報償費を交付した日,その金額等の情報が宮城県情報公開条例(平成11年宮城県条例第10号。平成14年宮城県条例第60号による改正前。以下同じ。)8条2項ただし書による同条1項4号所定の非開示事由(公共秩序維持情報)に該当するとしてされた前記各文書の非開示決定につき,前記捜査報償費の支出がすべて架空のものであったとしたら,前記各文書は,犯罪の捜査や治安の維持といった本来の警察活動に関する文書ではなく,前記条例が非開示とすることによって保護しようとした利益は存在しないことになるところ,捜査報償費は,その支出の仕組みからみて不正使用を招きやすいものであることは否めず,前記捜査報償費の支出についてもその一部は不正使用されたのではないかと疑われるところがあるものといわざるを得ないが,反面,前記捜査報償費が適正に支出されたものがあることをうかがわせる事情もあり,個々の捜査報償費の支出につきそれが架空支出であることを示す確たる証拠はないから,前記捜査報償費の支出のすべてが架空であったと認めることはできないし,一部に不正使用があるとしても,前記捜査報償費のどの部分が不正使用であったかについては判然としないとして,前記情報が前記非開示事由に該当するとした警察本部長の判断は,裁量権の逸脱又は濫用に当たらないとした事例2 県警察本部の各課隊における犯罪捜査協力報償費に係る施行伺に記録された起案者である警察職員の氏名,印影の情報につき,警察は,犯罪の予防,鎮圧及び捜査等において中心的な役割を果たすことが予定されているが,犯罪の予防,鎮圧,捜査等は,犯罪者等と直接に対峙し,時には物理的かつ強制的に実現されなければならないものであって,相手方となる犯罪者やその関係者の反発や反感を招きやすい性質を有しているところ,未だ公表されていない警部補以下の警察職員の氏名等を開示すれば,事件の捜査等に当たった警察職員やその家族が攻撃の対象とされたり,あるいは警察活動の妨害を企図して様々な懐柔,干渉行為を加えられたりするおそれがあるとして,前記情報は,宮城県情報公開条例(平成11年宮城県条例第10号。平成14年宮城県条例第60号による改正前)8条2項本文により読み替えられた同条1項4号所定の非開示事由(公共秩序維持情報)に該当するとした事例

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