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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成18(行ウ)127等

事件名

 被爆者健康手帳交付申請却下処分取消等請求事件

裁判年月日

 平成21年6月18日

裁判所名

 大阪地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律に基づき被爆者健康手帳の交付申請及び健康管理手当の認定申請をした者が知事による各申請の却下処分の取消しの訴えを提起した後に死亡した場合に,同人の相続人らによる訴訟承継が認められた事例
2 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律に基づく被爆者健康手帳の交付申請及び健康管理手当の認定申請の却下処分を受けた者が,その取消しの訴えを提起した後,被爆者健康手帳の交付を受けた場合につき,前記訴えに係る訴えの利益は失われないとされた事例

裁判要旨

 1 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律に基づき被爆者健康手帳の交付申請及び健康管理手当の認定申請をした者が知事による各申請の却下処分の取消しの訴えを提起した後に死亡した場合につき,前記手帳交付申請の却下処分の取消しによって,前記申請者は,同法の定める各種手当の給付請求権を取得するものではなく,同法にいう「被爆者」の地位を取得するにとどまり,この「被爆者」の地位は,被曝した本人のみに一身専属的に帰属するというべきであるが,認定申請済みの健康管理手当の受給権は相続の対象となるから,「被爆者」でないという理由により申請済みの同手当の受給権を主張できないという法律状態を排除するためには,同手当認定申請の却下処分の前提となった前記手帳交付申請の却下処分の取消しを必要とし,同却下処分が取り消されれば,前記手当認定申請の却下処分も取り消されるべきであることからすれば,前記申請者の相続人らは,前記各処分について,その取消しによって回復すべき法律上の利益を承継しているとして,同人の相続人らによる訴訟承継を認めた事例
2 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律に基づく被爆者健康手帳の交付申請及び健康管理手当の認定申請の却下処分を受けた者が,その取消しの訴えを提起した後,被爆者健康手帳の交付を受けた場合につき,前記手当の受給要件として,前記手帳の交付を受けることによって同法1条にいう「被爆者」の地位を取得することが必要であるが,申請者は,前記手帳の交付を受けておらず「被爆者」ではないとして前記手当の申請を却下する処分を受けており,前記手帳の交付申請の却下処分が取り消され,申請時に「被爆者」たる地位を取得し得たことを前提として,改めて前記手帳の交付を受けた上で,被爆者援護法所定の要件を満たすものと認定されたときには,前記手当の認定申請をした日の属する月の翌月分から前記手当の支給を受けられるのであるから,申請人がその後にした申請に基づき別の被爆者健康手帳の交付を受けたとしても,なお,前記訴えに係る訴えの利益は失われないとした事例

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