裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成20(行コ)23
- 事件名
公金支出返還請求控訴事件(第一審・京都地方裁判所平成14年(行ウ)第2号,差戻前の控訴審・大阪高等裁判所平成16年(行コ)第118号)
- 裁判年月日
平成21年2月13日
- 裁判所名
大阪高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
市との間の委託契約に基づいて土地開発公社が先行取得した土地を購入するためにした公金支出が違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,市に代位して,当時の市長個人に対して損害賠償を求める請求が,一部認容された事例
- 裁判要旨
市との間の委託契約に基づいて土地開発公社が先行取得した土地を購入するためにした公金支出が違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,市に代位して,当時の市長個人に対して損害賠償を求める請求につき,当該職員の財務会計上の行為がこれに先行する原因行為を前提として行われた場合であっても,当該職員の行為が財務会計法規上の義務に違反する違法なものであるときは,同号の規定に基づく損害賠償責任を当該職員に問うことができると解されるところ,先行行為である前記委託契約が私法上無効といえるか,あるいは市がその取消権又は解除権を有したり,又は前記委託契約が著しく合理性を欠きそのためにその締結に予算執行の適性確保の見地から看過し得ない瑕疵が存在し,かつ,客観的にみて市が前記委託契約を解消することができる特殊な事情がある場合には,売買契約を締結したことが違法な財務会計行為となり得るとした上,前記委託契約は,取得する必要のない土地を対象とし,かつ,その取得価格も著しく高額で不当なものであったから,著しく合理性を欠き,そのためその締結に予算執行の適性確保の見地から看過し得ない瑕疵が存するといえ,また,市に前記土地の取得を義務付けることは,利息を含めた代金相当額の出損にとどまらず,将来にわたる前記土地の管理のための人的,物的な負担など多額の不必要な公金の支出を余儀なくさせるという不合理な結果を生ずる上,前記公社の成立以来市長が前記公社の理事長を兼務し,前記委託契約も前記市長個人が双方の代表者として締結したものであることも考慮すれば,客観的にみて前記市長個人が市の長として前記委託契約を解消することができる特殊な事情があるから,前記土地の売買契約は違法な財務会計行為であるとして,前記請求を一部認容した事例
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