裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成20(行コ)275等
- 事件名
太田市恩賞随意契約損害賠償住民訴訟控訴,同附帯控訴事件(原審・前橋地方裁判所平成16年(行ウ)第40号)
- 裁判年月日
平成21年2月24日
- 裁判所名
東京高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 市の住民が,市の優良工事を施行した請負人を表彰し,恩賞として随意契約の締結権を付与する制度に基づく複数の随意契約の締結ないしこれに基づく公金の支出が違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,市長個人に損害賠償の請求をすることを市長に対して求める訴えが,監査請求期間徒過につき正当な理由がないとして,一部却下された事例
2 市の住民が,市の優良工事を施行した請負人を表彰し,恩賞として随意契約の締結権を付与する制度に基づく随意契約の締結ないしこれに基づく公金の支出が違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,市長個人に損害賠償の請求をすることを市長に対して求める請求が,棄却された事例
- 裁判要旨
1 市の住民が,市の優良工事を施行した請負人を表彰し,恩賞として随意契約の締結権を付与する制度に基づく複数の随意契約の締結ないしこれに基づく公金の支出が違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,市長個人に損害賠償の請求をすることを市長に対して求める訴えにつき,監査請求の対象とされた財務会計行為である前記契約は,一般住民に分からないよう秘密裡に行われたものではなく,市の担当部署に問い合わせれば,その概要が判明し,情報公開請求をすればさらにその詳細が判明するものであること,現に前記住民は,情報公開請求をしてその都度直ちに資料を入手し,前記契約の存在及び内容を具体的に知ったこと等の事情を考慮すると,前記契約についてその締結時から1年以内に普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて住民監査請求をするに足りる程度にその存在又は内容を知ることができなかったと認めることはできないから,監査請求期間を徒過したことについて同法242条2項ただし書所定の正当な理由がないとして,前記訴えのうち,前記契約の締結から1年を経過した後に住民監査請求をした部分を却下した事例
2 市の住民が,市の優良工事を施行した請負人を表彰し,恩賞として随意契約の締結権を付与する制度に基づく随意契約の締結ないしこれに基づく公金の支出が違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,市長個人に損害賠償の請求をすることを市長に対して求める請求につき,前記制度は,平成15年9月1日に廃止されたのであるから,その後に,しかも前年の表彰から1年以上経過した後に随意契約により得るものとはいえず,地方自治法施行令(平成16年政令第344号による改正前。以下同じ。)167条の2第1項2号にいう「その性質または目的が競争入札に適しないものをするとき」にも当たらないから,前記契約は,同法234条2項及び同法施行令167条の2第1項に違反する違法なものであり,これにより市には,前記契約価格が仮に同契約を競争入札に付していた場合に競争により形成されたであろう落札価格(想定落札価格)を上回る場合に損害の発生が認められるところ,前記契約は,契約金額が208万円余と比較的少額なものであって,これに他の競争入札事案の統計的数値を適用するなどして想定落札価格を算出することは相当でなく,競争入札に付した場合に入札者,落札者がいない可能性も否定できないから,前記契約の締結により,市に損害が生じたとは認められないとして,前記請求を棄却した事例
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