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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行ウ)12

事件名

 損害賠償請求等行使請求事件

裁判年月日

 平成21年2月16日

裁判所名

 横浜地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 権原なく市道等を占用した露天商らに対して,市が有する占用料相当の損害賠償請求権を行使しないことが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,市長に対してされた,前記怠る事実の違法確認を求める訴えが,適法とされた事例2 権原なく市道等を占用した露天商らに対して,市が有する占用料相当の損害賠償請求権を行使しないことが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,市長に対してされた,前記怠る事実の違法確認請求が棄却された事例

裁判要旨

 1 権原なく市道等を占用した露天商らに対して,市が有する占用料相当の損害賠償請求権を行使しないことが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,市長に対してされた,前記怠る事実の違法確認を求める訴えが,同訴えにおいては,個別具体的な金銭債権の不行使が財務会計上の作為義務の懈怠といえるかどうかを審理,判断するために行使すべきであるとされる債権が,具体的に特定されていることを要し,債務者の特定は原則として氏名をもってされるべきであるが,同号に基づく訴えの場合には氏名以外の方法による相手方の特定を認めても,審理及び判決後の手続の遂行に支障が生ずるおそれは比較的少ないから,相手方を氏名によって特定することができない場合であっても,氏名以外の方法により客観的に特定することができ,かつ,当該普通地方公共団体において当該相手方の氏名を容易に知ることができるような場合には,例外として適法な訴えと解すべきであるとして,前記訴えを適法とした事例2 権原なく市道等を占用した露天商らに対して,市が有する占用料相当の損害賠償請求権を行使しないことが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づき,市長に対してされた,前記怠る事実の違法確認請求につき,市は,道路占用許可を受けることなく道路を占用する者に対し,占用料相当額の損害賠償請求権を取得するが,同請求権の額は前記露天商ら各1名につき228円という著しく少額で債権の取立てに要する費用にも満たない額であり,また,占用料は前記占用許可を受けた上で減免申請の手続を執りさえすれば全額免除も受けられるような性質の債権であることも考慮すると,占用料相当額の損害賠償請求権について,事後的に多額の費用を取り立てることは著しく不適当であるというべきであって,前記請求権を行使しないことは地方自治法施行令171条の5第3号所定の場合に当たると認められ,これを行使しないことを違法ということはできないとして,前記請求を棄却した事例

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