裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成19(行ウ)339
- 事件名
固定資産評価審査決定取消請求事件
- 裁判年月日
平成21年3月6日
- 裁判所名
東京地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 固定資産課税台帳に登録された土地の価格についての固定資産評価審査委員会の決定に対して一定の価格を超える部分の取消しを求める訴訟において,同委員会の認定した価格について適正な時価を上回っていると認められるものの,具体的な価格までは認定できない場合における,前記決定の取消しの範囲
2 固定資産課税台帳に登録された土地の価格に関する審査の申出を棄却した固定資産評価審査委員会の審査決定の取消請求が,全部認容された事例
- 裁判要旨
1 固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日における土地の価格についての固定資産評価審査委員会の決定に対して一定の価格を超える部分の取消しを求める訴訟において,審理の結果,前記委員会の認定した価格が適正な時価を上回っていると判断するに至ったが,具体的な価格までは認定することができない場合には,前記委員会に改めて審査をやり直しさせるため,審査決定の全部を取り消すほかないところ,取消しを求める者が請求の趣旨に付した一定の価格を超える部分という限定は,訴訟物を限定するものではなく,裁判所が固定資産の価格を認定して審査決定の一部を取り消す場合における勝訴判決の上限を画するものであって,裁判所が価格を認定しないで審査決定の全部を取り消す場合には,その限定は及ばないものと解するのが相当であるから,前記決定の全部を取り消すべきである。
2 固定資産課税台帳に登録された土地の価格に関する審査の申出を棄却した固定資産評価審査委員会の審査決定の取消請求につき,固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号)において,各筆の各土地の評価額を求める場合に用いる地積は,登記簿に登記されている土地については,原則として登記地積によるものとされているが,登記地積が現況地積よりも大きいと認められる場合における当該各土地の地積は,現況地積によるものとされているところ,前記各土地の登記地積はその現況地積よりも相当程度大きいものである蓋然性が極めて高いことから,地方税法433条1項に従って,必要と認める調査その他の事実審査を行って登記簿の記載以外にその登記地積が現況地積を上回るものではないことを明らかにする証拠その他の資料を徴しなければ,登記地積を基にする前記登録価格をもって固定資産の価格とすることはできないはずであり,市は,前記各土地の各登記地積がその各現況地積を上回るものではないことについて,登記簿の記載以外の証拠に基づいて積極的な主張立証をしていないことからすれば,登記地積を基にする前記登録価格をもって前記各土地の固定資産の価格と認定した前記決定は違法であるとして,前記請求を全部認容した事例
- 全文