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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成20(行ウ)186等

事件名

 退去強制令書発付処分取消請求

裁判年月日

 平成21年3月27日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 不法残留していた大韓民国国籍を有する夫婦が,出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく異議の申出をしたのに対し,法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長がした同申出には理由がない旨の裁決は,在留特別許可を認めなかった点で違法であり,同裁決を前提とする入国管理局主任審査官がした退去強制令書の発付処分も違法であるとしてした前記各裁決及び前記各発付処分の取消請求が,いずれも認容された事例

裁判要旨

 不法残留していた大韓民国国籍を有する夫婦が,出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく異議の申出をしたのに対し,法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長がした同申出には理由がない旨の裁決は,在留特別許可を認めなかった点で違法であり,同裁決を前提とする入国管理局主任審査官がした退去強制令書の発付処分も違法であるとしてした前記各裁決及び前記各発付処分の取消請求につき,在留特別許可を付与するか否かの判断は,法務大臣の極めて広範な裁量にゆだねられていると解すべきであるが,その判断が全く事実の基礎を欠き,又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかである場合には,裁量権の範囲を逸脱し,又は濫用したものとして,違法となるとした上,前記夫婦は,著名,かつ,有力な企業から商号使用を許諾されて飲食店を経営しており,その営業権は高い経済的価値を有するものであるが,前記企業の経営者との間の個人的な信頼関係に基づく一身専属的な性格が強く,他に譲渡するなどして経済的価値を具体的,かつ,即時に実現回収することが困難であり,前記夫婦が退去強制されると営業の維持は困難であること,前記夫婦は,自ら出頭して不法残留の事実を申告していること等の積極的要素を考慮しなかった前記各裁決は,その判断が全く事実の基礎を欠き,又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるから,前記各裁決は違法であり,これを前提とする前記各発付処分も違法であるとして,前記請求を認容した事例

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