裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成19(行コ)123
- 事件名
手数料納付義務不存在確認,登記事項証明書交付拒否処分取消等請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成17年(行ウ)第137号(甲事件),同年(行ウ)第220号(乙事件),平成18年(行ウ)第19号(丙事件),同年(行ウ)第107号(丁事件))
- 裁判年月日
平成21年4月14日
- 裁判所名
大阪高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 登記事項証明書の交付手数料の額を定める登記手数料令2条1項の規定は,財政法3条に違反しない。
2 登記事項証明書の交付手数料を1000円と定める登記手数料令2条1項は,不動産登記法119条3項の委任の範囲を逸脱し,違法,無効であるとして,交付手数料1000円のうちの未払部分について納税義務がないことの確認を求める請求が棄却された事例
- 裁判要旨
1 登記事項証明書の交付手数料の額を定める登記手数料令2条1項の規定が財政法3条に違反するかにつき,不動産登記法119条3項が登記手数料の額の定めを政令に委任したのは,登記手数料の額の決定が専門的,技術的事項で,社会の諸事情の変化に迅速,的確に対応すべきことが要求される事項であり,国会がすべて対応することは困難であることによるものであって,合理的必要性があり,また,同項は,委任事項や考慮要素を特定していることなどからすれば,前記委任は,違法な白紙委任には当たらず,これを受けて定められた登記手数料令2条1項の規定は,財政法3条に違反しない。
2 登記事項証明書の交付手数料を1000円と定める登記手数料令2条1項は,不動産登記法119条3項の委任の範囲を逸脱し,違法,無効であるとして,交付手数料1000円のうちの未払部分について納税義務がないことの確認を求める請求につき,内閣は,手数料という役務の反対給付としての性質を逸脱しない範囲で諸般の事情を考慮して登記手数料の額を決定する裁量権を有しており,かかる裁量権に逸脱,濫用があったといえる場合に限り,登記手数料令2条1項は,不動産登記法119条3項の委任の範囲を逸脱し,違法,無効となると解すべきであるとした上,登記手数料令2条1項が施行された時点において,手数料の算定根拠たる所要経費の算定過程に,内閣が算定の基礎とした数値の選択や算定方法に不合理な点があったとはいえず,裁量権の行使に逸脱,濫用があったとはいえないから,登記手数料令2条1項は不動産登記法119条3項の委任の範囲を逸脱したものではないとして,前記請求を棄却した事例
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