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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成20(行ウ)517

事件名

 損害賠償等請求事件

裁判年月日

 平成21年4月28日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 障害基礎年金の受給権が発生したため国民年金保険料納付義務の免除を受けたものの,前記受給権発生前に前納された前記免除後の期間に対応する保険料について還付しない処理を受けた者がした,同期間にかかる前納保険料の還付等を求める公法上の不当利得返還請求が,棄却された事例

裁判要旨

 障害基礎年金の受給権が発生したため国民年金保険料納付義務の免除を受けたものの,前記受給権発生前に前納された前記免除後の期間に対応する保険料について還付しない処理を受けた者がした,同期間にかかる前納保険料の還付等を求める公法上の不当利得返還請求につき,国民年金法89条柱書が法定免除の対象となる保険料について「既に納付されたもの及び第93条第1項の規定により納付されたものを除き」と規定するところ,被保険者が法定免除事由に該当するに至った日より前に納付し又は前納した保険料は,同法89条各号の定める法定免除事由に該当するか否かが客観的には不確定な時点において拠出されたものであって,その時点においては,被保険者について法定免除制度による優遇的な措置を講ずべき必要性自体も減殺されているということができること,被保険者が納付し又は前納した保険料は,当該被保険者の老齢基礎年金の算定において同法27条1号所定の保険料納付済期間の月数として考慮され,将来に老齢基礎年金の受給を選択する場合には,法定免除の対象期間として処理される場合に比べ保険料の算定において有利な取扱いを受けられるから,法定免除の対象として取り扱われないことが一概に被保険者にとって不利益になるものということはできないこと,同法89条柱書により法定免除の対象から除外される保険料の納付又は前納の範囲を,その納付又は前納がされた日と法定免除事由に該当するに至った日との前後によって区分することは法定免除の対象となる保険料であるか否かを明確に区別でき,事務処理上の便宜にも適うことからすれば,法定免除事由に該当するに至った日を基準として,その前後に納付され又は前納された保険料について当該日と納付又は前納の日との前後によって別個に取り扱うのは合理的であって,同法89条柱書の文理に照らしても相当と解されるから,法定免除事由に該当するに至った日より前に納付され又は前納された保険料については一体のものとして法定免除の対象から除外されるものと解するのが相当であるとして,前記請求を棄却した事例

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