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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行コ)299

事件名

 産業廃棄物処理施設設置許可処分取消請求控訴事件(原審・千葉地方裁判所平成13年(行ウ)第17号)

裁判年月日

 平成21年5月20日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 産業廃棄物のいわゆる管理型最終処分場の設置に関し,県知事がした産業廃棄物処理施設の設置許可処分の取消しを求める訴えについて,同処分場の建設予定地の周辺に居住する者のうち,一定範囲の者の原告適格が肯定された事例
2 産業廃棄物のいわゆる管理型最終処分場の設置に関し,県知事がした産業廃棄物処理施設設置許可処分の取消請求が,認容された事例

裁判要旨

 1 産業廃棄物のいわゆる管理型最終処分場の設置に関し,県知事がした産業廃棄物処理施設の設置許可処分の取消しを求める訴えにつき,廃棄物の処理及び清掃に関する法律は,産業廃棄物処理施設の周辺地域に居住する住民に対し,違法な産業廃棄物処理施設の設置に起因する人体に有害な物質の排出によってその健康又は生活環境に係る著しい被害を受けないという具体的利益を保護しようとするものであると解されるところ,その被害の内容,性質,程度等に照らせば,この具体的利益は,一般的公益の中に吸収解消させることが困難なものであるとした上,前記処分場から人体に有害な物質を含有する浸出水が許容限度を超えて継続的に排出された場合には,同処分場の建設予定地周辺の台地に居住し,地下水を生活用水,農業用水等に直接利用している者は,その健康又は生活環境に係る著しい被害を直接に受けるおそれがあるとして,同台地内に居住し,同所でカーネーションの栽培事業又は水田耕作を行っている者の原告適格を肯定した事例
2 産業廃棄物のいわゆる管理型最終処分場の設置に関し,県知事がした産業廃棄物処理施設設置許可処分の取消請求につき,県知事が同許可処分をするに当たっては,廃棄物の処理及び清掃に関する法律15条2項所定の申請書に添付することとされている産業廃棄物処理施設を設置することが周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査の結果を記載した書類が提出されていない場合にはこれに対する措置を採り,産業廃棄物処理施設について設置許可の申請があった場合には,遅滞なく同条2項1号から4号に掲げる事項,申請年月日及び縦覧場所を告示するとともに,前記申請書及びその添付書類を当該告知の日から1か月間公衆の縦覧に供し,前記告示をしたときは,遅滞なく,その旨を当該産業廃棄物処理施設の設置に関し生活環境の保全上関係がある市町村の長に通知し,期間を指定して当該市町村長の生活環境の保全上の見地から意見を聴き,あらかじめ,同条15条の2第1項2号に掲げる事項について,生活環境の保全に関し環境省令で定める事項について専門的知識を有する者の意見を聴かなければならなかったにもかかわらず,これらの措置をいずれも採っていないところ,これらの措置を採ることは,産業廃棄物処理施設の設置によって,当該産業廃棄物処理施設の周辺地域に居住する住民に健康又は生活環境に係る著しい被害が発生することを防止し,良好な生活環境を保全することを確保するために不可欠な手続として定められたものであるから,同法の趣旨に反する重大な瑕疵があるとして,前記取消請求を認容した事例

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