裁判例検索

裁判例結果詳細

行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行ウ)549

事件名

 在留期間更新許可申請不許可処分無効確認請求事件

裁判年月日

 平成21年5月28日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 日系人及びその家族について定住者の在留資格の要件を定める出入国管理及び難民認定法第7条1項第2号の規定に基づき同法別表第2の定住者の項の下欄に掲げる地位を定める件(平成2年法務省告示第132号に素行善良要件を加える告示(平成18年法務省告示第172号))は,憲法14条1項並びにあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約2条1項(a)及び4条(c)に違反しない。

裁判要旨

 日系人及びその家族について定住者の在留資格の要件を定める出入国管理及び難民認定法第7条1項第2号の規定に基づき同法別表第2の定住者の項の下欄に掲げる地位を定める件(平成2年法務省告示第132号に素行善良要件を加える告示(平成18年法務省告示第172号))につき,素行善良要件が課されることになっても,日系人及びその家族について,一般の外国人よりも優遇される程度が同告示の施行前に比して低減されたに過ぎず,また,通常の在留資格に関し,一般の外国人と別段異なる取扱いを受けるものではないから,同告示が,日系人及びその家族に対し,入国及び在留の許否において,一般の外国人に比して差別的な不利益を課すものとはいえず,同告示は,定住者の在留資格を有する者による犯罪が相当数発生していること,日系人として定住者の在留資格で入国し,在留する外国人による重大事件が発生し,治安に対する国民の不安が高まっていること等を踏まえ,日系人及びその家族が定住者の在留資格を取得する要件に素行が善良であることを追加したものであるとされているところ,これに対応する事実が認められることを踏まえて出入国管理の目的である国内の治安の維持の観点から定住者の在留資格の要件に原則として素行善良要件を付加したことが,全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるということはできず,法務大臣等の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとは認められないし,不合理な差別又は人種差別の行為又は慣行の従事並びに助長又は扇動に当たるということもできないから,前記告示は,憲法14条1項並びに同条約2条1項(a)及び4条(c)に違反しない。

全文