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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成20(行ケ)7

事件名

 裁決取消請求事件

裁判年月日

 平成21年6月17日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 湖と外洋を結ぶ水路において竿釣りを行う目的で漂泊中の船舶と衝突した漁船の船長に対し,同船長には前記船舶の動静監視を十分に行うべき注意義務を怠った過失があるとして高等海難審判庁がした戒告の裁決が,適法とされた事例

裁判要旨

 湖と外洋を結ぶ水路において竿釣りを行う目的で漂泊中の船舶と衝突した漁船の船長に対し,同船長には前記船舶の動静監視を十分に行うべき注意義務を怠った過失があるとして高等海難審判庁がした戒告の裁決につき,前記水路は港則法35条が規定する「船舶交通の妨げとなる虞れのある港内の場所」に当たるが,同条の規定は,「みだりに漁ろう」をすることを禁止するものであって,およそ漁ろうを禁止するものではないのみならず,漁ろう以外の目的での漂泊を禁止するものでも,漂泊中の船舶と航行中の船舶との衝突回避のための航法を定めた規定でもないとした上で,進行中の船舶と漂泊中の船舶との衝突を避けるための具体的な衝突回避のための航法を定めた規定はないものの,同法38条,39条においては,海上交通の特殊性から法規制の行われていない場面で運行上の危険や衝突の危険がある場合には,海事関係者の間で確立された良き慣行である船員の常務に委ねられていることからすると,前記衝突における責任の有無については前記船員の常務に基づき判断するのが相当であり,前記船長には船舶の航行に際して前記船舶の動静を注視し,進路前方の安全を確認すべき注意義務を怠った過失があるとして,前記裁決を適法とした事例

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