裁判例検索

裁判例結果詳細

行政事件 裁判例集

事件番号

 平成20(行コ)159

事件名

 政務調査費返還請求行為請求控訴事件(原審・京都地方裁判所平成19年(行ウ)第26号)

裁判年月日

 平成21年6月17日

裁判所名

 大阪高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 政務調査費の交付額について,会派に対しては月額1万円に所属議員数を乗じた額と,会派に所属しない議員に対しては月額7000円と,それぞれ規定する条例が,憲法14条に違反するなどとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,各会派に対し,会派に対する政務調査費の交付額と会派に所属しない議員の交付額との差額分の不当利得の返還請求をすることを市長に対して求める請求が,棄却された事例

裁判要旨

 政務調査費の交付額について,会派に対しては月額1万円に所属議員数を乗じた額と,会派に所属しない議員に対しては月額7000円と,それぞれ規定する条例が,憲法14条に違反するなどとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,各会派に対し,会派に対する政務調査費の交付額と会派に所属しない議員の交付額との差額分の不当利得の返還請求をすることを市長に対して求める請求につき,同法100条13項及び14項を設けた法改正においては,地方議会における会派の調査活動の重要性が考慮されているといえ,また,社会情勢の変化に伴う新たな政治課題等を行政の施策に反映させるためには,地方議会の審議能力の充実強化を図ることが必要であり,そのためには同じ志向を有する議員が集まって活動することが必要であるところ,会派においては,所属議員の研修や意見交換等が必要となる上,議員単独では行うことが困難な大規模な調査活動等が可能となることに伴い,調査研究活動に要する経費が,議員が単独で活動する場合の経費を単純に合計したものを超える場合のあることは容易に推測できることから,会派に所属する議員と会派に所属しない議員との間に前記差異を設けることには合理的な理由があり,憲法14条に違反するとはいえず,また,地方自治法100条13項は,政務調査費の交付の対象となる会派の要件について条例に委任しているところ,一人会派を認めるか否かは市議会の立法裁量の範囲に属するものであり,一人会派を政務調査費の交付の対象である会派に含めないことをもって直ちに同法に違反するとはいえないし,会派に所属しない議員についても政務調査費の交付の対象としている以上,一人会派の所属議員を会派に所属しない議員として扱うことが議員を不当に差別するものということはできないとして,前記請求を棄却した事例

全文