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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行コ)393

事件名

 新東京国際空港にかかる工事実施計画の変更認可処分取消等請求控訴事件(原審・千葉地方裁判所平成12年(行ウ)第14号)

裁判年月日

 平成21年6月1日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 中央省庁等改革関係法施行法(平成11年法律第160号)により国土交通大臣がしたとみなされる新東京国際空港公団に対する航空法(平成15年法律第124号による改正前)55条の3第1項に基づく新東京国際空港の航空保安無線施設及び航空灯火の各工事実施計画変更認可の行政処分性
2 新東京国際空港公団に対する航空法(平成15年法律第124号による改正前)56条の2第1項に基づく延長進入表面,円錐表面及び外側水平表面の変更指定の取消しを求める訴えにつき,前記指定に係る延長進入表面等の投影面内に不動産を有する者又は不動産について権利を有する者のうち,前記指定によって新たにあるいは従前以上に制限表面による私権制限を受けることとなる者の原告適格を肯定した事例
3 新東京国際空港公団に対する航空法(平成15年法律第124号による改正前)56条の2第1項に基づく新東京国際空港の延長進入表面,円錐表面及び外側水平表面の変更指定の取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

 1 中央省庁等改革関係法施行法(平成11年法律第160号)により国土交通大臣がしたとみなされる新東京国際空港公団に対する航空法(平成15年法律第124号による改正前。以下同じ)55条の3第1項に基づく新東京国際空港の航空保安無線施設及び航空灯火の各工事実施計画変更認可につき,同法55条の3第1項に基づく,前記空港の工事実施計画又は変更工事実施計画の認可は,公団に対し,前記空港の設置工事又は変更工事の実施権限を付与するものであるから,いずれも抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解されるところ,同項は,前記空港と航空保安施設とを併記した上,航空保安施設の設置又は重要な変更についても,前記空港の設置又は重要な変更と同様に,工事実施計画又は変更工事実施計画について国土交通大臣の認可を受けなければならない旨を規定しており,また,同法55条の3第2項が準用する同法39条1項2号は,飛行場と航空保安施設とを併記した上,これらの設置が「他人の利益を著しく害することとならないものであること」を認可の審査事項としていることからすると,同法は,飛行場と同様,航空保安施設についても,その設置が「他人の利益」を害する場合を想定しているのであって,これらの規定及び「認可」との用語が用いられていることからすると,同法は,航空保安施設の設置,変更についても,これを「処分」とする旨の立法政策を採用しているというべきであるから,前記各変更認可はいずれも抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。
2 新東京国際空港公団に対する航空法(平成15年法律第124号による改正前)56条の2第1項に基づく延長進入表面,円錐表面及び外側水平表面の変更指定の取消しを求める訴えにつき,制限表面等の範囲の変更を生じることとなる前記指定は,制限表面による私権制限の範囲を変更する法的効果をも有するが,前記指定に先立つ工事実施計画変更認可及びその告示により,進入表面等の投影面内に不動産を有する者又は不動産について権利を有する者は既に私権の制限を受けていたとして,前記指定に係る延長進入表面等の投影面内に不動産を有する者又は不動産について権利を有する者のうち,前記指定によって新たにあるいは従前以上に制限表面による私権制限を受けることとなる者について原告適格を肯定した事例
3 新東京国際空港公団に対する航空法(平成15年法律第124号による改正前。以下同じ)56条の2第1項に基づく新東京国際空港の延長進入表面,円錐表面及び外側水平表面の変更指定の取消請求につき,延長進入表面等による私権の制限は,地上から40メートル以上という高度の高い場所を対象とするところ,前記指定当時,前記空港周辺には延長表面等の上に出る建築物はなかったのであり,延長表面等の投影面内には近い将来高層建築物の建設が必要となるような人口密度が高く就労人口の多い都市はなかったから,前記指定は空港周辺の土地利用者の利益を著しく害することはなく,同法56条の3第1項所定の実体的要件を具備しており,また,指定に当たって,同法39条2項及び40条の手続的要件も充足されているから,前記指定は適法であるとして,前記請求を棄却した事例

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