裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成18(行ケ)18等
- 事件名
各審決取消請求事件
- 裁判年月日
平成20年4月4日
- 裁判所名
東京高等裁判所
- 分野
独禁
- 判示事項
野菜の交配種の種子の元詰販売業者である事業者らが,共同して,販売価格を定める際の基準となる価格(基準価格)を毎年決定し,当該基準価格の前年度からの変動に沿って当年度に各事業者が適用する価格表上の価格及び個別の取引における販売価格を定めて販売する旨の合意をしていたことが私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律2条6項に規定する「不当な取引制限」に当たるとして排除措置を命じた審決が,適法とされた事例
- 裁判要旨
野菜の交配種の種子の元詰販売業者である事業者らが,共同して,販売価格を定める際の基準となる価格(基準価格)を毎年決定し,当該基準価格の前年度からの変動に沿って当年度に各事業者が適用する価格表上の価格及び個別の取引における販売価格を定めて販売する旨の合意をしていたことが私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律2条6項に規定する「不当な取引制限」に当たるとして排除措置を命じた審決につき,不当な取引制限において必要とされる意思の連絡があるといえるためには,複数事業者間で相互に同内容又は同種の対価の引上げを実施することを認識し,ないしは予測し,これと歩調をそろえる意思があることをもって足り,このような意思が形成されるに至った経過や動機について具体的に特定されることまでを要するものではないとした上,前記合意の存在により各事業者は,自社の価格表価格を基準価格に基づいて定めるものとし,他の事業者も同様の方法で価格表価格を定めることを認識し得るのであるから,基準価格に基づいて自社の価格表価格及び販売価格を定めても競争上不利になることはないものとして価格設定に係るリスクを回避し,減少させることができるものといえるから,これをもって事業者間の競争が弱められているといえ,不当な取引制限にいう相互拘束性が認められるところ,いずれも9割以上のシェアを占める元詰業者らが,本来,公正かつ自由な競争により決定されるべき商品価格を継続的なやり方であることを認識した上で前記合意をすること自体が競争を制限する行為にほかならず,市場における競争機能に十分な影響を与えるものと推認することが相当であるから,個別の取引において値引きや割り戻しに係る価格交渉が行われていることをもって実質的に競争が制限されていないとはいえないし,実際の販売価格までを設定し得る合意を含んでいないことから不当な取引制限に当たらないと解すべき理由も見当たらない等として,前記審決を適法とした事例
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