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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成17(行コ)12

事件名

 固定資産税等の免除措置無効確認等請求控訴事件(原審・熊本地方裁判所平成16年(行ウ)第1号)

裁判年月日

 平成18年2月2日

裁判所名

 福岡高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 朝鮮会館として使用されている建物及びその敷地の各一部分は,地方税法367条の規定を受けた熊本市税条例50条1項2号の「公益のために直接専用する固定資産」及び同項を受けた熊本市税条例施行規則6条2号ウの「公民館類似施設」に該当するとしてされた固定資産税及び都市計画税の減免措置が違法であるとして,地方自治法242条の2第1項2号に基づいて前記減免措置の取消を求める請求及び同項4号に基づいて前記減免措置当時の市長個人に損害賠償の請求をすることを市長に対して求める請求が,いずれも認容された事例

裁判要旨

 朝鮮会館として使用されている建物及びその敷地の各一部分は,地方税法367条の規定を受けた熊本市税条例50条1項2号の「公益のために直接専用する固定資産」及び同項を受けた熊本市税条例施行規則6条2号ウの「公民館類似施設」に該当するとしてされた固定資産税及び都市計画税の減免措置が違法であるとして,地方自治法242条の2第1項2号に基づいて前記減免措置の取消を求める請求及び同項4号に基づいて前記減免措置当時の市長個人に損害賠償の請求をすることを市長に対して求める請求につき,固定資産税等の減免事由の存否は,当該固定資産の納税義務者とされている登記簿等に所有者として登記又は登録されている者について判断されなければならないところ,前記各不動産の所有者として登記されている会社は,元々前記会館を所有することを企図して設立されたにすぎず,会社としての活動は何ら行われていないから,同社に減免事由は認められず,また,仮に減免事由の存否を現実の利用者について判断すべきであるとしても,前記条例50条1項2号にいう「公益のために」とは「我が国社会一般の利益のために」と解すべきところ,専ら前記会館全体を使用している在日朝鮮人総聯合会等の活動が「我が国社会一般の利益のために」行われているとはいえないし,さらに,前記規則6条2号にいう「公民館類似施設」は社会教育法42条に規定する「公民館に類似する施設」を指すものであり,公民館と同様に,一定区域の住民を広く対象とした施設を予定しているものと解するのが相当であるところ,前記会館の運用規則上,前記各一部分が専ら「公益のために」使用されるべきものとは定められておらず,「公益のために」という目的,内容の施設としてふさわしい利用状況であったかについても大いに疑問があることからすれば,いずれにせよ減免事由は認められず,前記減免措置は違法であるとして,前記各請求をいずれも認容した事例

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