裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成15(行ウ)152等
- 事件名
閲覧謄写申請不許可処分取消請求事件
- 裁判年月日
平成18年2月23日
- 裁判所名
東京地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(平成17年法律第35号による改正前)69条に基づく審判事件の閲覧謄写申請に対してされた一部許可決定(以下「第1処分」という。)及びその後にされた第1処分によって不許可とされた部分の一部につき閲覧謄写を許可する旨の決定(以下「第2処分」という。)について,それぞれ閲覧謄写を不許可とされた部分の各取消しを求める各訴えのうち,第2処分に係る訴え及び第1処分に係る訴えのうち第2処分によって閲覧謄写を許可された部分の取消しを求める部分は,訴えの利益がなく不適法とされた事例 2 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(平成17年法律第35号による改正前)69条に基づいて利害関係人がした審判記録の閲覧謄写申請に対し,公正取引委員会がその定める内部基準に基づいてした一部許可決定の不許可部分の取消しを求める請求が,認容された事例
- 裁判要旨
1 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(平成17年法律第35号による改正前)69条に基づく審判事件の閲覧謄写申請に対してされた一部許可決定(以下「第1処分」という。)及びその後にされた第1処分によって不許可とされた部分の一部につき閲覧謄写を許可する旨の決定(以下「第2処分」という。)について,それぞれ閲覧謄写を不許可とされた部分の各取消しを求める各訴えの訴えの利益につき,処分の個数は申請の個数に対応すると解するのが合理的であり,第2処分が第1処分とは全く別個の処分であるというべきではないとした上,第2処分は,それによって新たに閲覧謄写を許可された部分についてのみ法的効果を及ぼす受益的な性質を有する処分であるから,第1処分(ただし,第1処分及び第2処分を通じて閲覧謄写を不許可とされた部分)の取消しを求めるべきであるとして,第2処分に係る訴え及び第1処分に係る訴えのうち第2処分によって閲覧謄写を許可された部分の取消しを求める部分は,訴えの利益がなく不適法とされた事例 2 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(平成17年法律第35号による改正前。以下「独占禁止法」という。)69条に基づいて利害関係人がした審判記録の閲覧謄写申請に対し,公正取引委員会がその定める内部基準に基づいてした一部許可決定の不許可部分の取消しを求める請求につき,同法(前記改正前)53条1項ただし書によって,同法上の審判は,事業者の事業上の秘密を保つために必要があると認めるとき又は公益上必要があると認めるときは,これを公開しないことができることとされるにとどまるものであって,同法上,事件記録の閲覧謄写請求に対し,当該事件記録上の情報の性質に応じて,その閲覧謄写請求を制限できる旨の規定等もないから,同法自体においては,当該情報に関して,これ以上の保護を予定していることを読み取るのは困難であり,また,同法(前記改正前)59条が,利害関係人が,一定の条件の下,当事者として審判手続に参加できると規定していることなどから,行政機関の保有する情報の公開に関する法律上の開示請求において不開示とされる情報であっても,主体が利害関係人に限られる独占禁止法(前記改正前)69条に基づく閲覧謄写請求においては,これを閲覧謄写できると解するのが相当であることなどからすれば,前記一部許可決定の不許可部分は,法律上の根拠なしに閲覧謄写を不許可としたものであるとして,前記請求を認容した事例
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