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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成21(行コ)12

事件名

 犯罪捜査報償費返還請求共同訴訟参加控訴事件(原審・仙台地方裁判所平成18年(行ウ)第18号)

裁判年月日

 平成21年9月10日

裁判所名

 仙台高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 県警生活保安課等が支出したとされる犯罪捜査報償費は,その所属長らが正当な公金支出を装って着服したものであり,県が前記所属長らに対する損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を有するにもかかわらず,その行使を怠っているとしてされた住民監査請求につき,地方自治法242条2項所定の監査請求期間の制限に服するとされた事例

裁判要旨

 県警生活保安課等が支出したとされる犯罪捜査報償費は,その所属長らが正当な公金支出を装って着服したものであり,県が前記所属長らに対する損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を有するにもかかわらず,その行使を怠っているとしてされた住民監査請求につき,前記報償費は,個別の支出に先立って資金前渡職員にその管理を委ね,所属長の決裁により予定する使途に支出させることとしたものであるから,報償費が支出によって資金前渡職員に交付されたことにより公金の支出が完了したわけではなく,その後の所属長の決裁,支出等の一連の行為も財務会計上の行為であり,かつ,それら一連の行為によって企図された報償費の使途が本来的に予定したものか否かは,財務会計上の行為の適法性等を決する重要な要件というべきところ,所属長らが正当な公金支出を装って着服したとの主張は,前記財務会計上の行為が,報償費の本来の使途以外への支出であって違法であり,効力を有さないという主張にほかならず,換言すれば,違法な支出に至る一連の財務会計上の行為をもって着服と評価しているものであるから,前記各請求権の存否を判断するに当たっては,決裁その他の一連の財務会計上の行為が違法か否かの判断が不可避であって,前記各請求権の不行使は不真正怠る事実に当たるとして,地方自治法242条2項所定の監査請求期間の制限に服するとした事例

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