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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行コ)357

事件名

 行政文書不開示決定処分取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成17年(行ウ)第363号)

裁判年月日

 平成21年9月30日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 エネルギーの使用の合理化に関する法律(平成17年法律第93号による改正前)11条に基づく定期報告書の開示請求に対し,前記報告書に記録された情報の一部が行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条2号イに該当するとしてされた一部不開示決定の取消請求及び不開示部分についての開示決定の義務付け請求が,いずれも認容された事例

裁判要旨

 行政機関の保有する情報の公開に関する法律の規定に基づいて,各処分行政庁に対し,エネルギーの使用の合理化に関する法律(平成17年法律第93号による改正前)11条に基づく定期報告書の開示請求をした者が,前記報告書に記録された情報の一部が,行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条2号イに該当するとして一部不開示とする部分開示決定を受けたため,前記決定のうち前記不開示に係る部分の取消しと,前記不開示部分についての開示決定の義務付けを求めて提起した各訴えにつき,同号イにいう「当該法人等又は当該個人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある」場合とは,当該情報を公にすることにより,当該情報に係る個々の法人等について,その権利,競争上の地位その他正当な利益が具体的に侵害される危険性の存することが客観的に認められる場合をいい,その危険性は,単なる確率的な可能性では足りず,法的保護に値する蓋然性をもったものでなければならないと解するのが相当であるとした上,同号イ該当性が認められるためには,定期報告書を提出した個々の事業者ごとに,当該定期報告書に記載されている燃料等の使用量等の情報を公にした場合に,その権利,競争上の地位その他正当な利益を害する具体的な危険性があることを主張,立証することが必要であるが,前記情報を公にすることにより,当該事業者の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることを認めるに足りる証拠はないから前記決定は違法な処分として取り消されるべきであり,かつ,処分行政庁が前記不開示部分に係る開示決定をすべきであることは同法5条の規定から明らかであると認められるとして,前記各請求をいずれも認容した事例

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