裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成20(行ケ)17等
- 事件名
審決取消請求事件
- 裁判年月日
平成21年10月23日
- 裁判所名
東京高等裁判所
- 分野
独禁
- 判示事項
1 建設公社が指名競争入札の方法により発注した土木工事について,ゼネコン業者らが談合を行ったとして課徴金の納付を命じた審決が,適法とされた事例
2 建設公社が指名競争入札の方法により発注した土木工事について談合を行ったとして,最低制限価格をわずかに上回る金額で土木工事を落札した業者に課徴金の納付を命じた審決が適法とされた事例
- 裁判要旨
1 建設公社が指名競争入札の方法により発注した土木工事について,ゼネコン業者らが談合を行ったとして課徴金の納付を命じた審決につき,前記土木工事について受注希望業者間の話し合いにより受注予定者を決定し,他の業者は受注予定者が決めた価格で受注予定者が落札できるよう協力する旨の前記業者らによる基本合意は,受注調整の方法等のルールが具体的に定められておらず,合意の当事者も明確でないことなどからすると,契約のように法的な拘束力を持つ合意とはいえないものの,前記業者間の受注調整及び前記入札に際して有効に機能している慣行であるから,前記不当な取引制限の有無を判断するに際して,前記工事を落札,受注した前記業者らの基本的な合意であると認めることはなんら不当ではない上,同法2条6項が定める競争の実質的な制限とは,競争自体が減少して,特定の事業者又は事業者集団が,その意思である程度自由に価格,品質,数量,その他の各般の条件を左右することによって市場を支配することを意味しており,その意思だけで自由に価格,品質,数量その他の各般の条件を左右できる状態まで至っていることを必要とするものではないから,前記基本合意の参加者及び協力者は,全競争業者の半数程度であったとしても,前記基本合意によって,本来されるべき入札参加者全員による競争は,受注予定者と前記基本合意に参加していない業者のみの競争に限定されているから,前記基本合意により公社発注工事の入札市場における競争が実質的に制限されており,基本合意に参加していない業者が前記入札に参加して競争を仕掛け,競争の結果前記基本合意によって受注予定者とされた者が落札できない物件があるとしても,そのことが直ちに前記基本合意が競争制限効果を有していないことの根拠となるとはいえないとして,前記審決を適法とした事例
2 建設公社が指名競争入札の方法により発注した土木工事について談合を行ったとして,最低制限価格をわずかに上回る金額で土木工事を落札した業者に課徴金の納付を命じた審決につき,他の業者らが受注意欲を示して入札に臨む行動をとっていたことから,前記落札業者は最低制限価格をわずかに上回る金額で入札をしたが,最終的には落札業者を除く全ての入札参加業者が落札業者の要請を受けて競争を回避しているのであるから当該物件について競争制限的効果が具体的に生じている上,課徴金納付命令は不当な取引制限等による経済的利得を国が徴収し,違反行為がそれを保持し得ないようにすることによって,実効性を確保するとともに,違反行為の抑止を図り,不当な取引制限等の禁止規定の実効性を確保するために執られる行政上の措置であり,不当な利得のはく奪にとどまらない複合的な趣旨及び目的を持つものであって,不当な利得の発生の有無及びその多寡を問わず,不当な取引制限等によって競争制限効果が発生した物件について命じられるべきものであるから,前記落札業者が談合によって不当な利得を得ることができなかったとしても課徴金制度が適用されるとして,前記審決を適法とした事例
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