裁判例検索

裁判例結果詳細

行政事件 裁判例集

事件番号

 平成20(行ウ)70

事件名

 損害賠償等請求事件(住民訴訟)

裁判年月日

 平成21年10月6日

裁判所名

 大阪地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 地方公営企業である市水道事業の管理者の補助職員たる市水道部の総務課長が,専決により,労働組合活動を理由として職員らの職務専念義務を免除し,勤務しないことを黙示的に承認して,同免除を受けた期間に対応する給与及び勤勉手当を支給する旨の支出命令を行ったこと,及び同管理者が,同支給を阻止すべき指揮監督上の義務に違反したことが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,総務課長の地位にあった者個人に賠償命令をすることを同管理者に対して求める請求及び同管理者の地位にあった者個人に損害賠償の請求をすることを同管理者に対して求める請求が,いずれも認容された事例

裁判要旨

 地方公営企業である市水道事業の管理者の補助職員たる市水道部の総務課長が,専決により,労働組合活動を理由として職員らの職務専念義務を免除し,勤務しないことを黙示的に承認して,同免除を受けた期間に対応する給与及び勤勉手当を支給する旨の支出命令を行ったこと,及び同管理者が,同支給を阻止すべき指揮監督上の義務に違反したことが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,総務課長の地位にあった者個人に賠償命令をすることを同管理者に対して求める請求及び同管理者の地位にあった者個人に損害賠償の請求をすることを同管理者に対して求める請求につき,労働組合法7条3号及び地方公務員法55条の2第6項は,勤務時間中の組合活動が原則として無給であることを前提としており,組合活動自体は職務との関連性を有せず,行政目的の達成という公益上の必要性も認め難いことを考え併せれば,職員が勤務時間中に職務を離れて行う組合活動について勤務しないことを承認することは地方公営企業法38条2項の趣旨に反し,裁量権の範囲を超え,これを濫用したものとして違法であり,職務免除を与えた期間につき減額を行わないでした給与及び勤勉手当の支出命令も財務会計法規上の義務に違反するものとして当然に違法になるとした上,前記専決は,平成19年当時は,組合活動を有給ですることができないとの見解が一般的で,かつ,それが周知されていたにもかかわらずされたものであることからすれば,少なくとも重大な過失により法令の規定に違反したものというべきであり,また,同管理者が総務課長による給与等の支給を阻止することなく漫然と放置していたことは,故意又は過失により補助職員が財務会計上の違反行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務に違反し,不法行為に当たるとして,前記各請求をいずれも認容した事例

全文