裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成19(行ウ)5等
- 事件名
生活保護法第78条に基づく費用徴収金の取消請求事件(甲事件),生活保護法第78条に基づく費用徴収金の取消請求事件(乙事件)
- 裁判年月日
平成21年3月23日
- 裁判所名
高松地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
生活保護受給者が,(1)生活保護申請に際して,同一世帯に属する長男が,同人を被保険者とし同一世帯に属さない者を契約者とする育英年金付きこども保険契約に基づく育英年金の受給権を得ていたにもかかわらず,これを申告せず,(2)生活保護開始後に,同人が同年金を受領したにもかかわらず,これを申告しなかったことが,生活保護法78条にいう「不実の申請その他不正な手段」に当たるとして,福祉事務所長がした同条に基づく費用徴収処分が,違法とされた事例
- 裁判要旨
生活保護受給者が,(1)生活保護申請に際して,同一世帯に属する長男が,同人を被保険者とし同一世帯に属さない者を契約者とする育英年金付きこども保険契約に基づく育英年金の受給権を得ていたにもかかわらず,これを申告せず,(2)生活保護開始後に,同人が同年金を受領したにもかかわらず,これを申告しなかったことが,生活保護法78条にいう「不実の申請その他不正な手段」に当たるとして,福祉事務所長がした同条に基づく費用徴収処分につき,(1)当該受給者は,当該申請時,自らが所持していた保険証券では当該育英年金の支払請求ができないことも知っていたから,当該年金支払請求権が発生し,その権利が当該被保険者に属していることについて,確たる認識があったとまでは認めることができないことからすれば,故意に当該保険契約の存在を隠ぺいしたとまではいえず,申告に明らかに作為を加えたとは断定できないから,当該受給者が,当該申請の際,当該保険契約の存在を申告しなかったことが,同条にいう「不実の申請その他不正な手段」に当たるとは認められず,(2)当該受給者が,当該保険契約に基づく育英年金を受け取っても収入として申告する必要はないと誤信していたということは十分にあり得るから,故意に当該育英年金の受領等の事実を隠ぺいしたと認めるには足りず,申告に明らかな作為を加えたと断定することはできないのであって,当該受給者が,当該保険契約に基づく育英年金を受領したにもかかわらず,これを申告しなかったことが,同条にいう「不実の申請その他不正な手段」に当たるとは認められないなどとして,前記費用徴収処分を違法とした事例
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