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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成20(行ウ)704

事件名

 法人税更正処分取消等請求事件

裁判年月日

 平成21年11月27日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 合併法人が,最初連結親法人事業年度の法人税について,同年度開始の日と同日に吸収合併をした被合併法人の同日前7年以内に開始した各事業年度において生じた欠損金額を法人税法(平成18年法律第10号による改正前)81条の9第2項に規定する連結欠損金とみなされる金額として連結所得の金額の計算において損金の額に算入したのに対し,税務署長がその算入を否認してした更正処分が,適法とされた事例

裁判要旨

 合併法人が,最初連結親法人事業年度の法人税について,同年度開始の日と同日に吸収合併をした被合併法人の同日前7年以内に開始した各事業年度において生じた欠損金額を法人税法(平成18年法律第10号による改正前)81条の9第2項に規定する連結欠損金とみなされる金額として連結所得の金額の計算において損金の額に算入したのに対し,税務署長がその算入を否認してした更正処分につき,?連結親法人となる内国法人が適格合併をした場合において,当該適格合併に係る被合併法人にあった未処理欠損金が同項1号の規定により当該連結親法人に係る連結事業年度における連結欠損金とみなされるためには,最初連結親法人事業年度開始の日よりも「前」に適格合併が行われて同法57条2項の規定により当該連結親法人の欠損金額とみなされていたことを要するというべきところ,連結納税の承認の申請に係る内国法人が最初連結親法人事業年度開始の日に合併を行った場合において,法人税法上,合併の効力の発生の方が,連結納税の承認の効力の発生による最初連結親法人事業年度の開始よりも,法の適用上は先行すると解すべき規定は見当たらないことからすると,連結子法人である前記被合併法人の欠損金額については,同日「前」に同項の規定により連結親法人である前記合併法人の欠損金額とみなされていたということはできないから,同法81条の9第2項1号の規定により,前記被合併法人の欠損金額を前記連結事業年度における連結欠損金額とみなすことはできず,?株式移転に係る完全子会社であった連結子法人の単体としての事業年度において生じた欠損金額を一定の限度で連結欠損金額とみなす旨定める同項2号は,前記連結子法人であっても,連結親法人との間に強い一体性があるものとは評価することができないものがあることを考慮し,そのようなものを同号の適用対象から除外することとした上で,連結子法人に係る各般の事情を踏まえて特定することを政令に委任したものと解されるところ,当該株式移転の直前に他の法人の子会社となっていた連結子法人については連結親法人との間に強い一体性があるとまでは当然には評価し難いことから,そのような連結子法人につき同号の適用を除外すると定めた同法施行令(平成18年政令第125号による改正前)155条の19第5項の規定は,同法81条の9第2項2号の委任の趣旨に照らし,その合理性を肯認でき,同号の委任の範囲を逸脱したものではないと解されるとした上,前記被合併法人については,当該株式移転の直前において他の法人がその発行済株式総数の過半数を保有していたから,同法施行令155条の19第5項の規定により,同法81条の9第2項2号の規定の適用を除外される連結子法人に当たるので,同号の規定により,前記被合併法人の欠損金額を前記連結事業年度における連結欠損金額とみなすことはできないとして,前記処分を適法とした事例

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