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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成16(行ウ)3

事件名

 審査決定取消請求事件

裁判年月日

 平成21年12月25日

裁判所名

 新潟地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されていない家屋について,地方税法73条の21第2項により県知事が決定した不動産取得税の課税標準となるべき価格が,適正な時価を上回っていたため,同条3項により県知事から市長に対して通知された当該価格に基づき固定資産評価員がした当該家屋の評価及び当該評価に基づき市長が固定資産課税台帳に登録した当該家屋の価格が,適正な時価を上回っているとしてされた,固定資産評価審査委員会がした審査の申出を棄却する決定の取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

 固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されていない家屋について,地方税法73条の21第2項により県知事が決定した不動産取得税の課税標準となるべき価格が,適正な時価を上回っていたため,同条3項により県知事から市長に対して通知された当該価格に基づき固定資産評価員がした当該家屋の評価及び当該評価に基づき市長が固定資産課税台帳に登録した当該家屋の価格が,適正な時価を上回っているとしてされた,固定資産評価審査委員会がした審査の申出を棄却する決定の取消請求につき,同法409条2項が,固定資産課税台帳登録価格の決定手続において,固定資産評価員が固定資産の評価をするに当たり,同法73条の21第3項の規定による知事から市町村長への不動産取得税の課税標準となるべき価格の通知があった場合には原則として当該通知に係る価格によらせた趣旨は,固定資産税の課税対象となる土地及び家屋は,発電所及び変電所を除けば不動産取得税の課税対象となる土地及び建物と同一であり,その評価の基準並びに評価の実施方法及び手続も同一であるところから,両税における固定資産(不動産)の評価の統一と徴税事務の簡素化を図るためであると考えられることからすると,仮に前記知事からの通知に係る価格が当該固定資産の客観的に適正な時価と一致していなくても,それが同法409条2項にいう「当該土地又は家屋について地目の変換,改築,損壊その他特別の事情があるため当該通知に係る価格により難い場合」の程度に達しない以上は,固定資産評価員が前記知事からの通知に係る価格によってした固定資産の評価及びこれに基づいて市町村長が行った固定資産課税台帳への価格の登録は違法となるものではなく,前記程度に達しない場合には,固定資産税の納税者は,固定資産課税台帳に登載された価格に対する審査請求ないし審査請求棄却決定の取消訴訟において,前記知事からの通知に係る価格が客観的に適正な時価でないと主張して,固定資産課税台帳登録価格を争うことはできず,そして,同項にいう「特別の事情があるため当該通知に係る価格により難い場合」とは,当該固定資産につき,地目の変換,改築,損壊のように,不動産取得後に生じた特別の事情があるために,前記知事からの通知に係る価格により難い場合と解すべきであるから,固定資産税の納税者は,前記知事からの通知に係る価格に基づいて評価され,固定資産課税台帳に登録された価格に対する審査請求棄却決定の取消訴訟においては,当該固定資産の時価と前記知事からの通知に係る価格とに隔差があることを主張するだけでは足りず,それが不動産取得後に生じた特別の事情によるものであることをも主張する必要があるとした上,そのような特別の事情の存在も認められないとして,前記請求を棄却した事例

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