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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成19(行コ)38

事件名

 怠る事実の違法確認等請求控訴事件(原審・奈良地方裁判所平成14年(行ウ)第15号)

裁判年月日

 平成21年12月17日

裁判所名

 大阪高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 県の協業組合に対する中小企業高度化資金の貸付けについて,県の執行機関又は職員として同貸付金の債権管理権限を有していた者らが前記組合に対する前記貸付金の償還請求の手続を怠って県に損害を生じさせたとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,県に代位して前記の者らに対してした前記貸付金残金に対する利息相当額の賠償金の支払請求が,棄却された事例

裁判要旨

 県の協業組合に対する中小企業高度化資金の貸付けについて,県の執行機関又は職員として同貸付金の債権管理権限を有していた者らが前記組合に対する前記貸付金の償還請求等の手続を怠って県に損害を生じさせたとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,県に代位して前記の者らに対してした前記貸付金残金に対する利息相当額の賠償金の支払請求につき,(1)債権の管理に関する事項については地方自治法240条及び同法施行令171条から171条の7までの規定により定められているにもかかわらず,貸付目的の政策性,公益性を理由に履行期限の繰上げや強制執行等を行わないことを認めるとすれば,貸付けと補助金との区別を不明確にするのみならず,法令上,強制執行が功を奏しないと認められる場合に限り徴収停止の措置をとることができ,また,債務者が無資力又はこれに近い状態にあることを理由に履行期限を延長した場合に限り,議会の議決を得ることなく債権を免除できるものとされていることを無意味にしてしまうこと,(2)正常な債権回収が到底期待できない状況にありながら前記組合の経営改善努力を考慮して履行期限の繰上げや強制執行等を行わないのは失当であること,(3)県食肉流通センターの状況や化製業の構造不況の実態等の事情を踏まえれば,仮に前記組合が操業停止に陥ったとしても,直ちに臭気公害が再発したり,県内の食肉処理が滞るなどの弊害が生じる具体的なおそれがあるとは認められないことからすれば,同令171条の2ただし書の「その他特別の事情があると認める場合」及び同令171条の3ただし書の「その他特に支障があると認める場合」に該当する事由があるとはいえず,前記の者らのうち県知事であった者については,その過失によって,違法に債権管理を怠ったものと評価せざるを得ないが,前記手続が遅滞したことによって,県に損害が発生したとは認められないなどとして,前記請求を棄却した事例

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