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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成21(行ウ)439

事件名

 弁護士印影非公開処分取消請求事件

裁判年月日

 平成22年1月15日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 新宿区個人情報保護条例(平成17年新宿区条例第5号)に基づき自己の戸籍証明に係る交付請求書の開示請求をしたところ同請求に係る保有個人情報の一部を非開示とする決定を受けた者が,同決定に係る通知書に付記された理由は相当でないとしてした同決定の取消請求が,棄却された事例
2 新宿区個人情報保護条例(平成17年新宿区条例第5号)に基づき開示請求された請求者本人の戸籍証明に係る交付請求書中の弁護士の職印の印影に係る情報が,同条例19条3号所定の非開示事由(法人等情報)に該当するとされた事例

裁判要旨

 1 新宿区個人情報保護条例(平成17年新宿区条例第5号)に基づき自己の戸籍証明に係る交付請求書の開示請求をしたところ同請求に係る保有個人情報の一部を非開示とする決定を受けた者が,同決定に係る通知書に付記された理由は相当でないとしてした同決定の取消請求につき,同条例等において,開示請求に係る保有個人情報の全部又は一部を開示しない旨の決定をする場合に開示請求者にその旨等を通知する書面に理由を付記すべきこととされているのは,非開示とする理由の有無について,実施機関の判断の慎重と公正妥当を担保してそのし意を抑制するとともに,非開示の理由を開示請求者に知らせることによって,その不服申立てに便宜を与える趣旨であることからすれば,前記書面に付記すべき理由の程度は,開示請求者において,開示されない情報が同条例19条各号所定の非開示情報のいずれに該当するかをその根拠とともに了知し得るものであることを要し,原則として,単に非開示とする根拠規定を示すだけでは十分でないものの,付記された理由と,当該個人情報が記録された公文書の種類,性質等や,開示請求書その他開示請求に関する文書に記載された事項等とが相まって,開示請求者がそれらを当然に知りうるような場合には,理由付記に欠けるところはないと解するのが相当であるところ,前記通知書に付記された理由は,その他諸事情と相まって,前記の者が実施機関において当該非開示部分に係る情報が同条3号の非開示情報に該当するとして前記決定を行うことをその根拠とともに了知し得る程度のものと認められるなどとして,前記請求を棄却した事例
2 新宿区個人情報保護条例(平成17年新宿区条例第5号)に基づき開示請求された請求者本人の戸籍証明に係る交付請求書中の弁護士の職印の印影に係る情報につき,弁護士の職印により顕出された印影については,法人の事業の遂行に当たり契約書の作成等に用いられる印章によるそれに類する社会生活上の重要性を有するものといえ,これが広く開示されると,これを用いて文書の偽造がされることなどにより,当該弁護士の権利ないし正当な利益が害される相当の蓋然性があるということができ,同印影に係る情報を開示することにより,開示請求者以外の事業を営む個人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるといえ,同条例19条3号所定の非開示事由(法人等情報)に該当するとした事例

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