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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成21(行ケ)2

事件名

 裁決取消請求事件

裁判年月日

 平成22年3月25日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 国選弁護人に選任された弁護士が被告人から物品の差入れについて差入業者との交渉等を依頼されて引き受け,その事務手数料として10万円を受領した行為が,「国選弁護事件について」「対価を受領し」(旧弁護士倫理(平成2年3月2日日本弁護士連合会臨時総会決議。弁護士職務基本規程(平成16年日本弁護士連合会会規第70号)の施行により平成17年4月1日廃止。)38条)に当たるとされた事例

裁判要旨

 国選弁護人に選任された弁護士が被告人から物品の差入れについて差入業者との交渉等を依頼されて引き受け,その事務手数料として10万円を受領した行為について,同弁護士は,勾留中の被告人から依頼されて,差入れの手配等をしあるいは被告人の希望する物品が首尾よく差し入れられるように差入業者と差入れについて交渉し,そのような事務処理の手数料として儀礼の範囲を超える10万円という金額を受領したのであり,また,前記被告人の被告事件の国選弁護人としての地位を離れて前記事務処理をしたわけではなく,国選弁護人としての弁護活動の一環であると評価するに差し支えないものであるから,前記行為は国選弁護事件について対価を受領したものというべきであって旧弁護士倫理(平成2年3月2日日本弁護士連合会臨時総会決議。弁護士職務基本規程(平成16年日本弁護士連合会会規第70号)の施行により平成17年4月1日廃止)38条の規定する行為に該当するところ,同行為は同条に違背し,国選弁護制度に対する信頼を損ねるおそれのある行為というべきであり,弁護士法56条1項にいう弁護士としての品位を失うべき非行に当たるとして,所属弁護士会からされた戒告の懲戒処分について,日本弁護士連合会がした同処分に対する審査請求を棄却する旨の裁決は,裁量権の範囲を超え又は裁量権を濫用したものであるとはいえないとして,同裁決の取消請求が棄却された事例

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