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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成21(行ウ)259

事件名

 損害賠償(住民訴訟)請求事件

裁判年月日

 平成22年3月31日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 練馬区行政委員会委員の報酬および費用弁償に関する条例による区の選挙管理委員会の委員に対する月額報酬の支給が違法であるとして,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,前記月額報酬の支出の差止めを区長に求める請求が,棄却された事例

裁判要旨

 練馬区行政委員会委員の報酬および費用弁償に関する条例による区の選挙管理委員会の委員に対する月額報酬の支給が違法であるとして,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,前記月額報酬の支出の差止めを区長に求める請求につき,地方自治法203条の2第2項が地方公共団体の短時間勤務職員以外の非常勤の職員の報酬について,その本文において,原則としてその勤務日数に応じてこれを支給すると定める一方,そのただし書において,条例で特別の定めをした場合はこの限りではないと定めている趣旨は,非常勤の職員には各種のものがあり,その従事する職務やこれを受けてのそれぞれの勤務の態様等は様々で,これらに対する報酬を一律にその勤務日数に応じて支給するものとする取扱いをすることには問題があり,特に,選挙管理委員会の委員については,かねて全国の地方公共団体のほとんどにおいて月額をもってその報酬が定められていたことを踏まえつつ,その職務の内容や勤務の態様等に照らし,前記のような取扱いをすることが具体的実情に沿わないこととなるおそれがあるとの懸念が示されたことを受けて,各地方公共団体においてその判断により特別の定めをすることを認める旨を明らかにしたものであると解されるとした上,特別区の選挙管理委員会が管理及び執行をすべきものとされる事務は,相当程度に広範で専門性の高いものといえ,各種の選挙の執行の時期以外にも継続的に遂行する必要があるものがあるほか,個別の事由に応じ迅速かつ適正にその遂行に当たる必要があるものも含まれるのであって,勤務日数に応じてその報酬を支給するといった方法によることはその職務の内容や勤務の態様等の具体的実情に必ずしも沿うものではないと解し得る事情があるから,前記各委員らに対し勤務日数によらないで月額報酬を支給することとした前記条例を定めた区議会の判断は,その裁量権の範囲から逸脱し又はこれを濫用したものとまでは断じ難いというべきであるとして,前記請求を棄却した事例

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