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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成21(行コ)32

事件名

 公金支出差止請求控訴事件(原審・大津地方裁判所平成19年(行ウ)第10号)

裁判年月日

 平成22年4月27日

裁判所名

 大阪高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 滋賀県特別職の職員の給与等に関する条例による県の選挙管理委員会の委員長に対する月額報酬の支給が違法であるとして,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,前記月額報酬の支出の差止めを県知事に求める請求が,棄却された事例
2 滋賀県特別職の職員の給与等に関する条例による県の労働委員会及び収用委員会の各委員並びに選挙管理委員会の委員長を除く委員に対する月額報酬の支給が違法であるとして,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,前記月額報酬の支出の差止めを県知事に求める請求が,認容された事例

裁判要旨

 1 滋賀県特別職の職員の給与等に関する条例による県の労働委員会及び収用委員会の各委員及び選挙管理委員会の委員長を除く委員に対する月額報酬の支給が違法であるとして,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,前記月額報酬の支出の差止めを県知事に求める請求につき,地方自治法203条の2第2項ただし書きによって条例で特別の定めを置くかどうかは原則的には議会の裁量に委ねられているが,昭和31年改正によって同項ただし書きを追加した趣旨は,当時繁忙とされていた選挙委員会等の委員について,特に条例をもって規定することにより,特定の職員について勤務日数によらず月額又は年額等によって報酬を支給することができるようにしたということにあるから,現時点において,前記各委員らについて月額報酬制を採用していることが,裁量の範囲を逸脱し違法か否かは,職務の内容性質,勤務態様,地方の実情等に照らし,日額報酬制の原則によらずに月額報酬制を採用するのを相当とするような特別の事情があるか否かを検討し,もって月額報酬の定めが日額報酬制の原則に矛盾抵触して著しく妥当性を欠く状態になっているか否か,及びそのような状態が相当期間内に是正されていないといえるか否かによって判断すべきとした上で,選挙管理委員会の委員長については,同委員長の勤務は1か月に1週間程度であってそれなりの負担であり,1日当たりの金額も著しく不合理なものでもないとの判断もあり得るから,同委員長について月額報酬制をとることが,日額報酬制の原則と矛盾抵触して著しく妥当性を欠く状態になっているとは直ちに断じ難く,議会に認められた裁量の範囲を逸脱して違法であると直ちに認定することはできないとして,前記請求を棄却した事例
2 滋賀県特別職の職員の給与等に関する条例による県の労働委員会及び収用委員会の各委員及び選挙管理委員会の委員長を除く委員に対する月額報酬の支給が違法であるとして,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,前記月額報酬の支出の差止めを県知事に求める請求につき,地方自治法203条の2第2項ただし書きによって条例で特別の定めを置くかどうかは原則的には議会の裁量に委ねられているが,昭和31年改正によって同項ただし書きを追加した趣旨は,当時繁忙とされていた選挙委員会等の委員について,特に条例をもって規定することにより,特定の職員について勤務日数によらず月額又は年額等によって報酬を支給することができるようにしたということにあるから,現時点において,前記各委員らについて月額報酬制を採用していることが,裁量の範囲を逸脱し違法か否かは,職務の内容性質,勤務態様,地方の実情等に照らし,日額報酬制の原則によらずに月額報酬制を採用するのを相当とするような特別の事情があるか否かを検討し,もって月額報酬の定めが日額報酬制の原則に矛盾抵触して著しく妥当性を欠く状態になっているか否か,及びそのような状態が相当期間内に是正されていないといえるか否かによって判断すべきとした上で,労働委員会及び収用委員会の各委員並びに選挙管理委員会の委員長を除く委員については,遅くとも平成15年以降は1か月の平均勤務実日数が2.3日程度であるところ,各委員に対する現在の報酬はもはや勤務量に対応した反対給付と評価することはできず,日額報酬制の原則と矛盾抵触して著しく妥当性を欠く状態となっており,既に是正のために必要な相当な期間が経過しているから,前記各委員らに対し,勤務日数によらないで月額報酬を支給することとした条例の規定は,同法203条の2第2項で許された裁量の範囲を逸脱しており,前記支出は同法204条の2の規定に反し違法であるとして,前記請求を認容した事例

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