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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成21(行ウ)164

事件名

 開発基準適合確認通知差止等請求事件

裁判年月日

 平成21年11月27日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 市長が国分寺市まちづくり条例に基づき開発事業者に対してした,同事業者提出に係る開発事業申書等の内容が同条例に規定する審査基準に適合する旨の通知の取消訴訟につき,開発事業計画地の近隣住民の原告適格が肯定された事例
2 市長が国分寺市まちづくり条例に基づき開発事業者に対してした,同事業者提出に係る開発事業申書等の内容が同条例に規定する審査基準に適合する旨の通知の取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

 1 市長が国分寺市まちづくり条例に基づき開発事業者に対してした,同事業者提出に係る開発事業申書等の内容が同条例に規定する審査基準に適合する旨の通知の取消訴訟につき,同条例79条が,事業者は開発事業の計画及び工事の実施に当たり,「近隣住民の住居の日照に及ぼす影響を軽減させること」などからすると,同条例50条1項の開発適合審査基準において,同条例別表第3の3の項が,建築物の高さを規制している趣旨として,当該建築物の近隣の建築物の日照,採光等を良好に保ち快適な居住環境を確保することにより,近隣住民の健康に著しい被害を及ぼすことを防止する趣旨も含まれているものと解するのが相当であるところ,前記条例が,開発地域の近隣で当該開発区域から一定の距離以内の区域に住所を有する者等を「近隣住民」として具体的に規定した上で,開発基準適合確認通知に至る手続に関与することを認めていること,前記規制が保護しようとする利益が個人の健康という重要な利益であることなどを考慮すると,前記条例は,開発基準適合確認に係る開発事業で建築される建物により日照を阻害される近隣住民の健康を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解されるから,開発事業により建築される建物により日照を阻害される近隣住民は,開発基準適合確認通知の取消しを求める訴えにつき原告適格を有するとした事例
2 市長が国分寺市まちづくり条例に基づき開発事業者に対してした,同事業者提出に係る開発事業申書等の内容が同条例に規定する審査基準に適合する旨の通知の取消請求につき,開発事業が前記条例別表第3の3の項1号に規定する「良好な地域環境の創出に特に寄与する」と認められるか否かは,同項が例示する「緑地の積極的な確保,公開空地の創出」を主要な判断要素としつつ,他の様々な要素も加味して総合的に判断すべきものであり,同項の文言が抽象的なものであることからすれば,その判断は市長の合理的な裁量に委ねられているとした上,前記開発事業申請書において計画されている緑化,空地率及び緑化率は前記条例の規定する基準を相当上回っていること,公開空地については,本来設置義務はないものの,市長の指導や助言を受けて確保する計画であること,前記申請に係る建物の高さや形状についても市長の指導や助言いより一定程度の改善を図っていることなどの事情を市長が総合的に判断した結果,良好な地域環境の創出に特に寄与するものと認めて前記通知をしたものと認められるから,その判断は合理的な裁量の範囲内であるということができるなどとして,前記請求を棄却した事例

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