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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成20(行ウ)624等

事件名

 障害者介護給付支給決定取消等請求事件(甲事件),訴えの追加的併合申立事件(乙事件)

裁判年月日

 平成22年7月28日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 身体障害等級1級の認定を受けて車椅子による外出時の移動に一定の介護を要する者が,区がした障害者自立支援法24条2項に基づく支給決定の変更決定処分及び同法19条1項に基づく介護給付費の支給決定処分は,同人に係る社会参加のための外出の支給量を誤ったもので違法であるなどとしてした前記各処分の各取消請求が,一部認容された事例

裁判要旨

 身体障害等級1級の認定を受けて車椅子による外出時の移動に一定の介護を要する者が,区がした障害者自立支援法24条2項に基づく支給決定の変更決定処分及び同法19条1項に基づく介護給付費の支給決定処分は,同人に係る社会参加のための外出の支給量を誤ったもので違法であるなどとしてした前記各処分の各取消請求につき,同法及びその関係法令においては,市町村が介護給付費にかかる支給量を定め,又はそれを変更するに当たっては,個別の障害者に係る勘案事項を勘案すること以外には何ら具体的な基準が定められていないから,個別の障害者に係る勘案事項を勘案し,各障害者に対しいかなる種類の障害福祉サービスをいかなる支給量をもって行うかについては,勘案事項の調査の結果を踏まえた市町村の合理的裁量に委ねられているというべきであり,裁判所が障害者に対してされた支給量に係る決定やその支給量を変更する決定の適否を審査するに当たっては,当該決定が裁量権の行使として行われたことを前提として,その判断の過程において考慮すべき事項を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし妥当性を欠くものと認められるような場合に,障害者自立支援法が市町村に与えた裁量権の範囲を超え,又は濫用したものとして違法となると判断すべきであるところ,趣味,娯楽等の余暇活動のための外出に用いられることを想定した標準時間の部分(1か月当たり32時間)については,原則として,使途を特に確認することなく移動中介護の時間数として認め,前記標準時間を超える部分については,基本的に趣味,娯楽等以外の社会参加活動のための外出に用いられるものとして個別の事情の確認,勘案により移動中介護の時間数を加算する旨定めた大田区重度訪問介護に係る介護給付費の支給決定の基準に関する要綱(平成18年9月27日保福障発第109号区長決定)は,一定の合理性を肯認し得るとした上,前記介護を要する者の外出時間について,聴き取り調査の結果,その際の提出資料等を総合的に精査,勘案すると,同人が毎月少なくとも147時間の社会参加活動のための外出をしていると認めることが辛うじて可能であるといえるにもかかわらず,そのうちの一部についてしか移動中介護の時間数の加算を認めなかった前記各処分は,考慮すべき事項を考慮しないことによりその内容が社会通念に照らし妥当性を欠くものと認められ,同法が与えた裁量権の範囲を超えたもので違法であるとして,前記各請求を一部認容した事例

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