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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成22(行コ)6

事件名

 一般廃棄物処理業及び浄化槽清掃業の許可処分取消請求控訴事件(原審・鹿児島地方裁判所平成21年(行ウ)第14号)

裁判年月日

 平成22年11月24日

裁判所名

 福岡高等裁判所  宮崎支部

分野

 行政

判示事項

 市長が廃棄物の処理及び清掃に関する法律7条1項に基づいてした一般廃棄物収集運搬業の許可処分及び浄化槽法35条1項に基づいてした浄化槽清掃業の許可処分の各取消しを求める訴えにつき,同市長から一般廃棄物収集運搬業の許可処分及び浄化槽清掃業の許可処分を受けて同市内でし尿及び浄化槽汚泥の収集運搬業を営む会社に原告適格が認められないとされた事例

裁判要旨

 市長が廃棄物の処理及び清掃に関する法律7条1項に基づいてした一般廃棄物収集運搬業の許可処分及び浄化槽法35条1項に基づいてした浄化槽清掃業の許可処分の各取消しを求める訴えにつき,廃棄物処理法及び浄化槽法は,専ら国民の生活環境の保全及び公衆衛生の向上という一般的公益の保護を目的としており,既存の許可業者の経済的利益及び経営の安定を個別的利益として保護する趣旨ではなく,関係法令である下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合理化に関する特別措置法も,下水道の整備等によりその経営の基礎となる諸条件に著しい変化を生じることとなる一般廃棄物処理業等について,その受ける著しい影響を緩和し,併せて経営の近代化等を図るための計画を策定する等の措置を講ずることによってこれらの業務の安定を保持するとともに,廃棄物の適正な処理に資することを目的とするものであって,既存の許可業者の個別の経済的利益をも保護するものであるものの,下水道の整備等に伴って一般廃棄物処理業の合理化を行うという限定的な場面において適用されるものであることからすれば,既存の許可業者の個別の経済的利益は,国及び地方公共団体が環境の保全上緊急かつ重要な施策として下水道の緊急かつ計画的な整備等を推進することにより,一般廃棄物処理業等が受ける著しい影響を緩和するという限度で保護されるにすぎないことからすれば,同法の趣旨及び目的を参酌したとしてもなお,廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び浄化槽法が,前記の限定的な場面を離れて既存の許可業者の経済的利益を広く保護する趣旨を含むと解することはできないとして,同市長から一般廃棄物収集運搬業の許可処分及び浄化槽清掃業の許可処分を受けて同市内でし尿及び浄化槽汚泥の収集運搬業を営む会社に原告適格が認められないとされた事例

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