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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成22(行コ)242

事件名

 政務調査費違法使用分返還請求控訴事件(原審・横浜地方裁判所平成19年(行ウ)第45号)

裁判年月日

 平成22年11月5日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 市議会の会派が市から交付を受けた政務調査費の一部を広報費として使用したこと等が違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,前記会派に不当利得返還の請求をすることを市長に対して求める請求が,一部認容された事例

裁判要旨

 市議会の会派が市から交付を受けた政務調査費の一部を広報費として使用したのは違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,前記会派に不当利得返還の請求をすることを市長に対して求める請求につき,横浜市会政務調査費の交付に関する条例(平成13年横浜市条例第3号。平成20年横浜市条例第20号による改正前)に規定する政務調査費の使途基準が定める広報費は,地方自治法(平成20年法律第69号による改正前)100条13項に規定する「議員の調査研究に資するため必要な経費」に当たるから,同広報費としての使用は適法であるところ,前記使途基準にいう「会派において(略)行う」広報活動のための経費といえるには,費用の前払としてあらかじめ政務調査費を包括的に会派の所属議員等に交付しておき,当該議員等による広報活動の実施後,当該広報活動を会派のものとして承認する際にその精算を行うことも可能であるし,政務調査費の交付を受けた会派は,所属議員の調査研究に資するため必要な経費をその交付額を超えて支出した場合においても,その自律的な判断により,収支報告書の支出額の記載欄に,実際の支出額の全額を記載することなく,その一部のみを記載することも許され,その場合,当該政務調査費の使途が不適切であるとして不当利得返還請求又は損害賠償請求が求められる住民訴訟において,被告が当該収支報告書の支出額に計上されていない支出の存在を主張することも許されるとした上,前記会派による広報費としての支出の一部に前記使途基準に該当しない支出があるなどとして,前記請求を一部認容した事例

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