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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成23(行コ)11

事件名

 供託金還付請求却下処分取消請求控訴事件(原審・名古屋地方裁判所平成21年(行ウ)第58号)

裁判年月日

 平成23年5月27日

裁判所名

 名古屋高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 債権者不確知を理由に供託された被相続人の所有株式に関して発生した配当金等について,一部相続人らがした各相続分に応じた供託金払渡請求(還付請求)に対し,供託官が供託規則24条1項1号所定の「還付を受ける権利を有することを証する書面」の添付がないとしてした却下処分が,違法とされた事例

裁判要旨

 債権者不確知を理由に供託された被相続人の所有株式に関して発生した配当金等について,一部相続人らがした各相続分に応じた供託金払渡請求(還付請求)に対し,供託官が供託規則24条1項1号所定の「還付を受ける権利を有することを証する書面」の添付がないとしてした却下処分につき,同号にいう「還付を受ける権利を有することを証する書面」とは,供託官において,その書面のみによって還付請求者が還付を受ける権利を有することを確認することができるものでなければならないところ,前記配当金等はいずれも相続人らがその相続分に応じて分割債権として確定的に取得する性質のものであり,共同相続人全員の同意を前提として,金銭債権や相続開始後に遺産から生じた法定果実をも対象として遺産分割を行うという現在の家庭裁判所における遺産分割の実務の運用も,本来,共同相続人がその相続分に応じて分割債権として確定的に取得すべきものを,共同相続人全員の同意がある場合に限って,遺産分割の対象にできる扱いとしているにすぎないとした上,前記還付請求者らが添付書類として提出した戸籍謄本,遺産分割に関する家庭裁判所の審判に関する抗告審の決定書等によれば,前記還付請求者らの相続分及び同人らが前記配当金等を当該相続分に応じて分割債権として確定的に取得したこと,すなわち,同人らが前記供託金のうち当該相続分について還付を受ける権利を有することを確認することができるから,前記添付書類は同号所定の書面の要件を満たすとして,前記却下処分を違法とした事例

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