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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成22(行コ)152

事件名

 公文書部分公開決定処分取消請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成21年(行ウ)第176号)

裁判年月日

 平成23年2月24日

裁判所名

 大阪高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 公務員であるバス乗務員の時間外勤務に関する文書に記録された情報のうちバス乗務員の「氏名」に係る情報が,高槻市情報公開条例(平成15年高槻市条例第18号)6条1項1号ただし書ウのただし書が非公開情報として規定する「公開することにより,当該公務員等の個人の権利利益が不当に害されるおそれがある」ものに該当しないとされた事例

裁判要旨

 公務員であるバス乗務員の時間外勤務に関する文書に記録された情報のうちバス乗務員の「氏名」に係る情報につき,?高槻市情報公開条例(平成15年高槻市条例第18号)6条1項1号本文が,個人識別情報については,「(他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)」としながら,同号ただし書ウのただし書の「当該公務員等の個人の権利利益が不当に害されるおそれがある場合」については,他の情報と照合することにより個人の権利利益が不当に害されるおそれがある場合を含むとの規定を置いていないこと,?「氏名」に係る情報が,他の情報と組み合わされることにより当該公務員等の個人の権利利益が不当に害されるおそれがあるとされて非公開情報に該当するということになれば,職務遂行に関するどのような情報でも他の情報と組み合わせることによって個人のプライバシーを侵害する可能性があるとされて非公開情報に該当するということになりかねず,地方自治の本旨に即した市政の発展と市民の知る権利の保障に資するために,個人に関する情報であっても,当該個人が公務員等であって,当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときには,当該情報のうち,当該公務員等の職及び氏名並びに当該職務遂行の内容に係る部分は公開するものとし,当該公務員等の氏名についても原則公開することとした前記条例の目的及び趣旨に反する結果となるおそれがあること,?非常勤職員であるバス乗務員の実収入を相当程度具体的に推知するためには,非常勤職員の報酬体系について定めた規程及び要綱に基づく処理がされていることを知っているほか,前記文書に他の複数の文書を組み合わせることが必要であることも知っており,しかも,組み合わせるためにはこれらの書類に用いられているアルファベットや数字の意味を知っていることも必要であることからすれば,前記文書に他の情報を組み合わせることによって各バス乗務員の実収入を相当程度具体的に推知することが,市民一般にとって容易にできるものとは到底いえないこと,及び?前記規程及び要綱が公表されており,また,同規程及び要綱が非常勤職員の報酬を時間外勤務の時間等の外形的な事実に基づいて算定,支給するものとしていることから,前記文書に記録された具体的な勤務内容に係る情報を手掛かりにして各バス乗務員の実収入が相当程度明らかになるが,そのような事態が生ずるのは,前記報酬体系上やむを得ず,そうした定めの下で公務に従事する以上は当該非常勤職員において甘受すべきものであるとして,前記文書のうちバス乗務員の「氏名」に係る情報は,同号ただし書ウのただし書が非公開情報として規定する「公開することにより,当該公務員等の個人の権利利益が不当に害されるおそれがある」ものに該当しないとした事例

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