裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成22(行ウ)186
- 事件名
農地法3条に基づく所有権移転不許可処分取消請求事件
- 裁判年月日
平成23年6月21日
- 裁判所名
東京地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
法人が,永年生の植物の苗木を肥培植栽し,成育した苗木を顧客に賃貸してこれを記念樹として植え替えた上,更に生育させる事業のために農地の所有権を取得しようとしてした農地法(平成21年法律第57号による改正前)3条の規定による許可申請に対する不許可処分の取消しを求める請求が,認容された事例
- 裁判要旨
法人が,永年生の植物の苗木を肥培植栽し,成育した苗木を顧客に賃貸してこれを記念樹として植え替えた上,更に生育させる事業のために農地の所有権を取得しようとしてした農地法(平成21年法律第57号による改正前)3条の規定による許可申請に対する不許可処分の取消しを求める請求につき,?農地法にいう耕作に該当するか否かは,永年生の植物の苗木や生育した樹木が林業の対象となるようなものでない限り,このような作物を栽培するために土地に肥培管理,すなわち作物の生育を助けるための農作業一般を施すものであるか否かによって決定すべきであり,作物等の収穫は不可欠の要件とまではされていないところ,前記事業は,苗木として植え替えに適する程度まで人為的に生育させ,植え替え後も花の生育を助けるための人為的作業を施すというものであるから,苗木や生育した樹木が自然の生育に任されており,あるいは,林業の対象となるようなものであるということはできず,作物を栽培するために土地に肥培管理を施すものに該当すると認められることなどから,前記事業は,同法3条2項2号にいう農地のすべてについて耕作の事業を行うものに該当するということができ,また,?その法人の主たる事業が農業であることを農業生産法人に該当するための要件とした同法2条7項1号の規定は,当該法人に農業の売上げの実績がないことのみをもって農業生産法人への該当性を否定するものではなく,農地等の権利の取得後に行う予定の当該法人の主たる事業が農業である場合にも,農業生産法人に該当するものとして農地の権利移転を認める趣旨であると解されることから,当該法人の従前の事業の状況と併せ,その農地等を耕作の事業の用に供することとなる日を含む事業年度以降の3か年の農業の売上高が,当該3か年における当該法人の事業全体の売上高の過半を占めている場合にも,等しく農業生産法人の該当性を認めるのが相当であるところ,樹木の賃貸による賃料収入は耕作の事業の収入であり,苗木の生育や樹木の維持管理に必要な肥料等の購入費用や人件費である育成管理料も農作業の受託の対価であっていずれも農業の売上げと認められ,農地等を耕作の事業の用に供することとなる日を含む事業年度以降の3か年の前記事業の売上高が,当該3か年における前記法人の事業全体の売上高の過半を占めていることからすれば,前記法人の主たる事業が農業であると認められるとして,前記請求を認容した事例
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