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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成21(行ウ)157等

事件名

 輸送施設使用停止命令処分取消請求事件(甲事件・乙事件),損害賠償請求事件(丙事件)

裁判年月日

 平成24年2月3日

裁判所名

 大阪地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 地方運輸局長が一般乗用旅客自動車運送事業者に対してした道路運送法40条に基づく輸送施設使用停止処分の取消請求が,認容された事例

裁判要旨

 地方運輸局長が一般乗用旅客自動車運送事業者に対してした道路運送法40条に基づく輸送施設使用停止処分の取消請求につき,同処分は,「一般乗用旅客自動車運送事業者に対する行政処分等の基準について」(近運監一公示第6号,近運自二公示第51号,近運技安公示第8号)に基づき,通達により指定された特別監視地域等の地域内の営業所における一定の違反が確認された前記事業者が同地域に指定された後に基準車両数を一定程度減少させていないこと又は増加させたことを不利益に考慮して,同条に基づく監督処分を加重してされたものであるが,このような事実上の需給調整である減車勧奨及び増車抑制を目的とする前記加重は,事業者間の競争を促進し,事業の効率化,活性化を図るべく,事前規制である需給調整規則を廃止した平成12年法律第86号による改正後の道路運送法の趣旨,目的に合致せず,同法の目的の実現を図るという同法40条の趣旨,目的からも逸脱しているものであり,また,事業者が基準車両数を一定程度減少させず,又は増加させる行為は,道路運送法上適法なものであって規制の対象となるものではなく,行政庁による需給調整は,本来相手方の任意の協力によってのみ実現される行政指導の内容となる事項であるところ,このような事項について,不利益処分の加重事由として不利益な取扱いをすることは,行政手続法32条の趣旨にも反する不合理な取扱いであり,前記処分は,道路運送法40条の趣旨,目的から逸脱した減車勧奨及び増車抑制という目的に基づき,考慮すべきでない事情を考慮して加重された不合理なものというべきであるから,地方運輸局長に付与された裁量権の範囲を逸脱し又は濫用した違法なものであるとして,前記取消請求を認容した事例

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