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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成22(行ウ)11

事件名

 たばこ小売販売業許可処分取消等請求事件

裁判年月日

 平成23年12月14日

裁判所名

 熊本地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 財務局長がたばこ事業法22条1項に基づいてした製造たばこ小売販売業許可処分の取消しを求める訴えにつき,同許可処分に係る営業所の近隣で同小売販売業を営む者の原告適格が認められた事例

裁判要旨

 財務局長がたばこ事業法22条1項に基づいてした製造たばこ小売販売業許可処分の取消しを求める訴えにつき,同項が製造たばこの小売販売業を当分の間財務大臣の許可にかからしめているのは,たばこ専売法の下において指定を受けた製造たばこの小売人には零細経営者が多いことや,身体障害者福祉法等の趣旨に従って身体障害者等についてはその指定に際して特別の配慮が加えられてきたこと等にかんがみ,たばこ専売制度の廃止に伴う激変を回避するためであり,身体障害者福祉法24条1項及び母子及び寡婦福祉法26条1項において身体障害者や寡婦に対しては許可を与えるよう努めることとされていることなどからすれば,零細経営者や身体障害者等の保護の必要性は失われていないから,前記許可制は,たばこ事業法の下で許可を受けた者の経済的利益の保護もまた,その目的とするものと解されるところ,同法の委任を受けた同法施行規則等が定める距離規制は,既存の小売販売業者に対し,一定の距離の範囲内での独占的な地位を保障することによって,経営の安定化を図り,その経済的利益を保護するものであって,前記目的を端的に実現するものであることからすれば,前記許可制は,既存の小売販売業者の経済的利益を個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含むものというべきであり,たばこ事業法1条の目的は,このような既存の小売販売業者の利益を保護する趣旨を含むものと解されるとして,前記許可処分に係る営業所の近隣で製造たばこ小売販売業を営む者の原告適格を認めた事例

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