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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成21(行ウ)221

事件名

 原爆症認定申請却下処分取消等請求事件

裁判年月日

 平成24年3月9日

裁判所名

 大阪地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定の申請に対し,厚生労働大臣がした同申請を却下する旨の処分の取消請求が,認容された事例

裁判要旨

 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定の申請に対し,厚生労働大臣がした同申請を却下する旨の処分の取消請求につき,訴訟における放射線起因性の判断にあたっては,疾病等が発症するに至った医学的,病理学的機序を直接証明することを求めるのではなく,当該被爆者の原爆による放射線被曝の程度と,統計学的,疫学的知見等に基づく申請疾病等と放射線被曝の関連性の有無及び程度とを中心的な考慮要素としつつ,これに当該疾病等の具体的症状やその症状の推移,その他の疾病に係る病歴(既往歴),当該疾病等に係る他の原因(危険因子)の有無及び程度等を総合的に考慮して,原爆放射線被曝の事実が当該申請に係る疾病等の発症又は治癒能力の低下を招来した関係を是認し得る高度の蓋然性が認められるか否かを経験則に照らして判断するのが相当であり,また,原爆症認定の運用に関する「新しい審査の方針」の定める線量評価方式により算定される被曝線量は,あくまでも一応の目安とするにとどめるのが相当であり,当該被爆者の被爆状況,被爆後の行動,活動内容,被爆後に生じた症状等にかんがみ,様々な形態での外部被曝及び内部被曝の可能性がないかどうかを十分に考慮する必要があるとした上で,前記申請に係る疾病である急性心筋梗塞について,放射線起因性及び要医療性が認められるとして,前記請求を認容した事例

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