裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成22(行コ)124
- 事件名
水俣病認定申請棄却処分取消等請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成19年(行ウ)第89号)
- 裁判年月日
平成24年4月12日
- 裁判所名
大阪高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
公害健康被害補償法(昭和62年法律第97号により公害健康被害の補償等に関する法律と題名改正)4条2項に基づく水俣病認定の申請に対し県知事がした棄却処分の取消しを求める請求が,棄却された事例
- 裁判要旨
公害健康被害補償法(昭和62年法律第97号により公害健康被害の補償等に関する法律と題名改正)4条2項に基づく水俣病認定の申請に対し県知事がした棄却処分の取消しを求める請求につき,裁判所の審理,判断は,県公害健康被害認定審査会の医学上の科学的,専門的な調査審議及び判断を基にしてされた県知事の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきであって,現在の最新の医学水準に照らし,前記調査審議において用いられた具体的審査基準である,環境庁企画調査局環境保険部長が昭和52年7月1日に発出した「後天性水俣病の判断条件について」と題する通知(昭和52年環保業第262号)において示された判断条件に不合理な点があり,あるいは前記認定申請が前記判断条件に適合しないとした前記審査会の調査審議及び判断の過程に看過し難い過誤,欠落があり,県知事の判断がこれに依拠してされたと認められる場合にはその判断に不合理な点があるものとして,前記棄却処分を違法と解すべきであるとした上で,前記判断条件に基づく判断の手法は,メチル水銀の影響を判定するに当たり,当時の最新の医学上の科学的,専門的な知見に基づく検討の上で策定された主要症候の組合わせによってまず症候群判断を行い,次にこれから外れる事例について総合的に検討を進めるというものであり,十分な合理性があり,前記認定申請をした者には,水俣病に見られる症候のうち四肢末梢優位の感覚障害以外の症候は認められないから前記判断条件に規定する症候の組合わせは認められず,四肢末梢優位の感覚障害が一応認められるものの,これに係る症状が前記判断条件に適合しないとした前記審査会の調査審議及び判断の過程には,大筋において特段の看過し難い過誤,欠落は認められず,県知事は,前記審査会の前記判断に依拠して,前記認定申請をした者について水俣病の認定をしない旨の判断をしたものであり,その他その判断に特段不相当な点も見当たらないから,その判断に基づく前記棄却処分は適法であるとして,前記請求を棄却した事例
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