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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成24(行コ)46

事件名

 処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成23年(行ウ)第211号)

裁判年月日

 平成24年6月27日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 道路交通法26条の2第3項に違反する行為をしたとして,都公安委員会から基礎点数1点を付され違反経歴を記録された者がした,同点数付加に係る基礎点数の無効及び同違反経歴の不存在の確認を求める訴えが,却下された事例

裁判要旨

 道路交通法26条の2第3項に違反する行為をしたとして,都公安委員会から基礎点数1点を付され違反経歴を記録された者がした,同点数付加に係る基礎点数の無効及び同違反経歴の不存在の確認を求める訴えにつき,公法上の法律関係に関する確認の訴えにおいては,当該法律関係が存在することによって侵害を受ける権利,利益の性質やその侵害の程度,当該法律関係が存在することによって何らかの不利益処分を受ける可能性やその程度を考慮した上で,当該法律関係の存否を確定することを求める確認の訴えが当事者の法律上の地位の不安,危険を除去するために有効かつ適切な手段と認められる限り,確認の利益を肯定することができ,義務付け訴訟や差止訴訟の提起ができる場合と同様の事情があっても,これらの訴訟提起ができないときに限定して公法上の法律関係に関する確認の訴えの出訴が認められるものとは解することはできないとした上で,前記違反行為後に,道路交通法上の違反行為をすることなく1年が経過しているため,前記点数付加に係る違反点数が累積点数に加算されることはないこと,同人のように運転免許証の有効期間満了日において年齢が70歳以上になる者は,同法101条の3第1項ただし書,101条の4第1項により,違反行為の有無,優良運転者であるか否かとは無関係に,高齢者講習を受講して,その講習を終了し,適正検査を受けさえすれば,優良運転者等の区分に係る講習を受けなくても運転免許の更新を受けることが可能であるし,更新後の有効期間も違反行為の経歴や優良運転者か否かに関わりなく一律であること,同人が具体的に個人タクシー事業を営んでいたり,その許可申請を検討していたわけでもないから,前記点数付加によって直ちに職業選択の自由等が侵害されることになるわけでもなく,次回の運転免許証の更新時に点数付加によって生ずる不利益も特にないこと等から,前記点数付加や経歴が存在することにより同人に生じているという法律上の地位の不安,危険は,極めて主観的,抽象的なものにすぎず,確認訴訟によって即時に判決の既判力をもってその存否を確定する必要性は乏しく,確認の利益は認められないとして,前記訴えを却下した事例

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