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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成24(行ク)163

事件名

 執行停止申立事件(本案・平成24年(行ウ)第235号業務停止処分取消請求事件)

裁判年月日

 平成24年12月26日

裁判所名

 大阪地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 共同住宅について違法設計に及んだことを理由に3か月間の業務停止命令を受けた一級建築士が,行政事件訴訟法25条2項に基づき前記懲戒処分に基づく効力の停止を求めた申立てが,認容された事例

裁判要旨

 共同住宅について違法設計に及んだことを理由に3か月間の業務停止命令を受けた一級建築士が,行政事件訴訟法25条2項に基づき前記懲戒処分に基づく効力の停止を求めた申立てにつき,前記懲戒処分の効力が生じ,自らが設計者となっている工事に関して設計者の変更をせざるを得なくなった場合,一級建築士としての社会的信用は失墜し,業務上の信頼関係が損なわれるものと認められ,これらは,前記懲戒処分によって生じる一級建築士自身の被る損害であり,その損害の性質から,本案で勝訴しても完全に回復することは困難であり,また,損害を金銭賠償によって完全に補填することも困難であること,及び前記懲戒処分により3か月間建築士業務ができないことをもって,工事が進行中の案件について設計監理業務の委託者が業務委託契約を解除して勤務先会社に多大な損害が発生するような事態になるなどし,勤務先会社により懲戒解雇されるおそれも否定できないことに照らせば,建築士法10条1項の目的を踏まえても,前記懲戒処分の執行等により被る損害は,社会通念上,行政目的の達成を一時的に犠牲にしてもなお救済しなければならない程度の損害,すなわち,行政事件訴訟法25条2項にいう「重大な損害」に当たると認めるのが相当であるとして,前記申立てを認容した事例

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