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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成23(行ウ)8等

事件名

 所得税更正処分等取消請求事件

裁判年月日

 平成24年12月11日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 適格退職年金制度の終了に伴い支払われた一時金が所得税法(平成18年法律第10号による改正前)31条1項3号,同法施行令(平成18年政令第124号による改正前)72条2項4号所定のみなし退職所得には該当せず,同法34条1項所定の一時所得に該当するとされた事例
2 適格退職年金制度に基づく退職年金制度の終了に伴い支払われた一時金に関する収入の原因となる権利が確定した時期が,使用者が前記年金制度の終了に伴い年金信託契約を解約した時点とされた事例

裁判要旨

 1 適格退職年金制度の終了に伴い支払われた一時金は,所得税法施行令(平成18年政令第124号による改正前)72条2項4号にいう「適格退職年金契約に基づいて支給を受ける一時金」に該当するとは認められるものの,使用者が前記年金制度の終了に伴い適格退職年金契約である年金信託契約を解約し,当該年金信託契約に係る年金基金を退職年金受給権者及び加入者に分配したことによって行われたものであって,前記受給権者が使用者を「退職」したという事実によって初めて支給されたものとは認められないこと,既に使用者を退職して前記年金制度に基づく退職年金を受給しており,公的年金等に係る雑所得としての課税関係が開始されていた前記受給権者に対し,将来の年金給付の総額の60.2パーセントに相当する金員が繰上支給されたものといえることからすれば,同号にいう「退職により支払われるもの」には該当せず,したがって,所得税法(平成18年法律第10号による改正前)31条1項3号所定のみなし退職所得には該当せず,また,前記年金制度の終了に伴う年金信託契約の解約という一時的,偶発的な事由に基づき生じた所得であるから,同法34条1項所定の一時所得に該当するとした事例
2 適格退職年金制度に基づく退職年金制度の終了に伴い支払われた一時金は,使用者が前記年金制度の終了に伴い前記年金信託契約を解約したことによって支払われたものであるところ,受給権者が前記年金制度の終了を争って前記一時金を受領せず,別件訴訟における和解成立後に供託されていた前記一時金の還付を受けていたとしても,当該終了及び解約の時点でこれを法律上行使することができるようになり権利実現の可能性を客観的に認識することができる状態になったものということができ,前記和解がこのような状態に変化を及ぼしたともいえないから,前記時点において収入の原因となる権利が確定したとした事例

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