裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成23(行ウ)55
- 事件名
一般財団法人認可取消請求事件
- 裁判年月日
平成25年10月25日
- 裁判所名
大阪地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 包括宗教団体である宗教法人が,「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」40条1項により存続するものとされ,所定の登記をしていない特例財団法人に対する同法45条に基づく一般財団法人への移行認可の取消訴訟の原告適格を有するとされた事例
2 「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」40条1項により存続するものとされ,所定の登記をしていない特例財団法人が同45条に基づく一般財団法人への移行認可の申請をした場合において,同申請書に添付された定款の変更の案が当該財団法人の設立者の意思に反し,又は当該財団法人の同一性を失わせるような目的等の変更であっても同法117条1号所定の要件を満たすか
- 裁判要旨
1 包括宗教団体である宗教法人は,「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」40条1項により存続するものとされ,所定の登記をしていない特例財団法人の申請時の寄附行為において,前記宗教法人に対する助成と納骨堂の経営のみが目的とされ,同財団法人は,その目的を達成するため,同宗教法人の本山の文化財の整備保存を援助するための事業や同本山の儀式行事の伝承保存を援助するための事業等を行うものとされていたところ,移行認可の際の定款案では,同宗教法人に対する助成,援助等に関する事業が含まれていないという判示の事情の下では,前記宗教法人は,前記一般財団法人の定款変更の効力完成により,前記一般財団法人から助成を受けられる唯一の対象たる地位を失うという不利益を直接被ることになり,前記認可の本来的効果として自己の権利利益を侵害される関係にあるというべきであるとして,同財団法人に対してされた同法45条に基づく一般財団法人への移行認可の取消訴訟の原告適格を有するとした事例
2 「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」40条1項により存続するものとされ,所定の登記をしていない特例財団法人が同45条に基づく一般財団法人への移行認可の申請をした場合において,特例財団法人の定款変更に関する前記整備法の規定は,一般社団,財団法人法の趣旨と同様の考え方に基づき,一般財団法人として存続することを希望する特例財団法人については,解散を強制せず,できる限り円滑に一般財団法人への移行を認める趣旨の規定と解すべきであり,このような趣旨に照らせば,同申請書に添付された定款の変更の案が,前記財団法人の設立者の意思に反し,又は当該財団法人の同一性を失わせるような目的等の変更であっても,当該変更を行わなければ通常の一般財団法人への移行の認可がされず,一般財団法人としての存続が不可能となるおそれがある場合には,当該変更が信義則に反し,権利の濫用に当たる等の特段の事情がない限り,許されると解するのが相当であるとした上で,前記財団法人が移行認可の申請に際してした定款の変更の案について,移行認可がされず一般財団法人としての存続が不可能となるおそれがあり,前記の特段の事情も認められないことなどから,前記認可は同法117条所定の要件を満たしているとして,前記請求を棄却した事例
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