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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成24(行ウ)371

事件名

 不作為の違法確認請求事件

裁判年月日

 平成25年2月5日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 厚生年金保険法附則8条に基づく老齢厚生年金の受給権を取得した後も引き続き適用事業所に在職して厚生年金保険の被保険者であったために同附則11条1項に基づき前記老齢厚生年金の支給が停止されていたが,その後,適用事業所を退職して被保険者の資格を喪失したものの,「被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1月を経過したとき」には既に65歳に達し前記老齢厚生年金の受給権が消滅していた者に対し,厚生労働大臣が同法43条3項に規定する年金額の改定をせずにした前記老齢厚生年金を支給する旨の処分の取消請求が,棄却された事例

裁判要旨

 厚生年金保険法附則8条に基づく老齢厚生年金の受給権を取得した後も引き続き適用事業所に在職して厚生年金保険の被保険者であったために同附則11条1項に基づき前記老齢厚生年金の支給が停止されていたが,その後,適用事業所を退職して被保険者の資格を喪失したものの,「被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1月を経過したとき」には既に65歳に達し前記老齢厚生年金の受給権が消滅していた者に対し,厚生労働大臣が同法43条3項に規定する年金額の改定をせずにした前記老齢厚生年金を支給する旨の処分の取消請求につき,同項の文言からすれば,年金額の改定がされる時点である「被保険者の資格を喪失した日から起算して1月を経過した」時点においても,改定の対象となる年金の「受給権者」であることが改定の要件となっていると解するのが相当であり,また,被保険者の資格を喪失して改定をすべき事由自体は生じたものの,被保険者の資格を喪失した日から1月を経過する時点,すなわち改定を行う時点までの間に年金の受給権が消滅した場合には,支給されるべき年金が新たに発生することはなくなっており,将来に向けて年金額の改定を行う必要性はないのであるから,同項は,このような場合については,被保険者の資格を喪失した日から改定を行う時点までの間に1か月分の年金が発生している場合も含め,一律に改定は行わないこととしたものであると解することが不合理であるとはいえないから,適用事業所から退職して被保険者の資格を喪失したが,「被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1月を経過したとき」には,既に65歳に達し前記老齢厚生年金の受給権が消滅していたという場合については,同項に規定する改定はされないものと解するべきであるとして,前記請求を棄却した事例

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